教師 小林千佳-1
ここはホテルの一室。
40代のパッとしないおっさんと、若くて美しい女性という不釣り合いな２人が、ベッドの上に座って話し込んでいる。
「私、結婚を考えている彼氏がいるのですが…」
女の名前は小林千佳(こばやし ちか)。年は27才。大きい目に少し高めの鼻が印象的であり、身体全体から清楚な雰囲気がかもち出されている。
「この前、彼のご両親に挨拶にいったのです。その時に彼のお義母様から「あなた奨学金は借りてるの？」という話を切り出されて…」
「それでどう答えたのですか？」
直人は尋ねる。
「借りていて今も返済中です、と。そしたらお義母様が気分を害されまして、「結婚したら財産は共有されるのよね？？息子に借金背負わせる気なの？？」ですって…」
「そうですか…」
「それでお義母様が、「奨学金の返済証を見るまではうちの息子とは結婚させない。」とすごい剣幕で言うものですからら、困ってしまって…」
その時の情景を思い出したのか、千佳はしょんぼりとした表情をする。
その表情は、千佳のきれいな鼻の輪郭を強調し、横顔の美しさを引き立てている。
これからのことを想像すると興奮が押さえきれないが、俺は努めて冷静さを保ち、話しを続ける。
「それで奨学金を一括返済するためのお金を借りたい、と…ところで奨学金はいくら残ってるんですか？」
「……２５０万…です。」
「２５０万…！」
その一言に俺は思わず大きな声をあげる………