光の風 〈聖地篇〉-26
リュナは今聞かされた真実を納得するのに必死だった。衝撃が大きすぎる。しかし今までのカルサの様子から、納得できるものもあった。
王と目を合わせようともしない。ふいに見せる冷たい表情と懐かしむ表情。
彼はどんな気持ちで過ごしてきたのだろう。この場所にくる意味をリュナは深く思い知った。
一歩踏み出す。何も言わずカルサに近付き、抱きしめた。鼓動が伝わる。足元にはラファルが体を寄せてきた。
安心できる空間。幸せだと言えた空気が常に傍にあることを思い知らされる。
「帰りましょう、シードゥルサへ。みんな待ってる。」
「そうだな。」
いるべき場所はここではない。帰るべき場所が確かにあって、帰りを待つ人たちもいる。太古の時代はすぎているのだ。
「帰ろう。」
そして二人はラファルを連れて歩きだした。振り返ることはない。