光の風 〈聖地篇〉-17
彼女は不安そうに見つめていた。それを和らげようとカルサは微笑む。リュナは首を横に振り、もう一度見つめる。
「私はどうしたらいい?どうしたら力になれる?」
リュナの想いが心に響く。手は彼の腕に、カルサの過去を聞いてもリュナはすべてを受けとめた。
カルサの両腕が彼女を抱きしめたそうに動く、しかし押し止めた。
「気持ちは嬉しい。ありがとう。」
微笑みはどこか哀しげで、気持ちを押し殺しているように見えた。リュナは首を横に振り、もう一度言おうと口を開けたがカルサによっと止められる。
「リュナが、もしオレとの未来を考えてくれているのであれば…諦めてくれとしか言えない。」
新たな衝撃にリュナの瞳は大きくなった。カルサの腕にある手は小刻みに震えている。
「なぜ?」
絞りだした声は震えていた。悲しさよりも動揺が強い。
「オレたちに未来はない。」
「なぜ?私が弱いから?風神の力を使いこなせていないから?」
違うとカルサは首を横に振った。リュナは思わずカルサの両腕をつかみ、距離を縮める。それでもカルサは困った表情で彼女を否定し続けた。
「私だって戦えるわ!私だって力になれる!体を張って貴方の盾にもなれる!」
「違う!リュナ、風神のきみが頼りないわけじゃない!」
「だったら、なおさら…っ!」
リュナはあふれ出た感情を止められず泣きだした。風神を否定されていないなら、女としての自分を否定されたことになる。
ショックで言葉がなくなってしまった。
目から涙がこぼれる。カルサを掴む手に力が入った。離さないようにつなぎ止めるようにもみえる。
「リュナに否はない。原因はオレなんだよ。」
俯いたままのリュナにカルサ話かけた。無言で彼女は首を横に振る。
「聞いてくれ。」
囁くような声で呟いた。カルサは俯いたままのリュナに伝える。
「オレの命は長くはもたない。」
この言葉にリュナはゆっくりと顔を上げた。信じられない。表情で訴えている。
「オレはこの使命が終わったら、この世にはいない。オレたちに未来はないという意味はこれだ。」
リュナの腕が力なくベッドに落ちた。放心状態に近い瞳でカルサを見つめ続ける。
「なぜ…?」
「それがオレの使命だから。」
悲しそうに微笑む。孤独を感じさせる表情、泣いているようにも見えた。