サジタリアスの女 飛翔の章-2
「緋月さあーん」
山歩きをしていると若菜が手を振りながら大きな声で僕を呼ぶ。今日の彼女も爽やかだ。スポーティなスエット姿でいつでも全速力で走れそうな装いだ。
「こんにちは。今日はいいもの撮れた?」
「ええ。可愛いモズが……はやにえを」
神妙な顔つきで言う若菜がとても愛らしく感じた。
「それはそれは。いいもの見れたね」
「ねー。あんなに可愛いのにやることが凄くてびっくりしちゃう」
機材を下に置いた彼女は僕の視線よりも上に目線を上げ手を伸ばしてきた。
「頭に葉っぱがのっかってる。ほら」
どうやら頭にクヌギの葉を乗せていたようだ。僕の掌に葉をのせて若菜はふうっと大きく息を吐き出した。
「どうかした?」
「私、最近、あなたの事ばかり考えてる」
「僕も山を歩いているときに君に会えるといいなと思ってるよ」
「ほんとに!?」
若菜は唐突に首に手を回し唇を重ねてくる。一瞬だけの小鳥のようなキスをしすぐに離れた。そして機材を軽々と持ち上げ「また!」と言い軽い足取りで山を下っていった。
「さよなら」
唇をかすった柔らかい感覚を指で確かめていると、胸の奥から甘い疼きが沸いてくるのを感じていた。
若菜はランダムにやってきた。ただし日が高い間だけだ。キスを交わしてからは堰き止められた水が流れ出すように感情が溢れだしお互いを求めた。
「ここで抱き合いたい」
「寒くない?」
「平気」
古い大木を抱えて若菜は深呼吸をし茂る枝を見上げた。後ろからそっとウィンドブレーカーのジッパーをさげ、中のシャツをたくし上げた。ブラジャーはつけていなかった。小ぶりな丸い乳房を優しくもみしだく。
「気持ちいい」
スエットのズボンを下ろし小さなパンティの上から敏感な花芽を探る。薄手でシンプルな生地の上からさりげない花芽はすぐに探り当てられた。指先で回転させると甘い吐息が漏れ始める。
「あふんっ」
小さく固く尖った花芽を更にこすり上げると「あっあっあっああああっ」と尻を震わせ若菜は達した。パンティの中に手を入れると深い森のような茂みが指先に絡み、もう少し侵入すると溢れ出る泉が指先を濡らした。
「すごく濡れてるよ……」
「ああ……。嫌だ、恥ずかしい」
顔を紅潮させ恥じらっているのに彼女の下半身は腰を僕の方へ『やってください』と言わんばかりに突き出し擦り付ける。その矛盾した姿が哲学的な観念と肉体の欲求を同時に持ち合わせている人馬姿のケンタウロスを思い起こさせる。ぐいっとズボンをパンティごとさげて丸い尻を出させる。
後ろを振り返りながら若菜はこれからの快感の期待に身震いをしながら荒く息をしてこちらを見つめた。
「挿れるよ」
くびれた腰を持ち亀頭で茂みをかき分けながら潤いの源泉へずぶずぶと肉棒を突き入れる。
「あふううううっ、か、硬くて、き、きもち、いっいい」
「ああ。いい具合だ。熱くて……うねってる」
静かな深い森に肉のぶつかり合うパンパンという音が響く。獣の交尾の様になんらテクニックを使わずただただ性器の出し入れをする。――身体の相性がすごくいい……。
「くうううっ、も、もう、だめえええっ」
肉棒に微細な振動が感じられすぐに肉の収縮が伝わった。崩れ落ちそうに木にしがみついている彼女をこちらへ向きを変えさせ立位のまま僕にしがみつかせる。
「あっ、あううっ、ま、また、きちゃうっうう、だ、だめえ、も、もう、だめええっ」
彼女の背を木に支えさせ両足を抱きかかえ駅弁ファックで突き上げる。
「な、何回でも、イって」
「あっ、ぐっ、うふううっ」
再び絶頂を迎えた若菜は口をあんぐりと開け舌先を突き出している。その舌先を吸いながら僕もフィニッシュを決めた。
「ああっ、僕もいくよっ」
「あ、あた、し、もぉ」
「うっ、んん、ぐっ、ふっ」
「ああああうううっんん」
ぐったりとなだれ込んできた彼女の重みを受け止めてゆるゆると抱き合う繋がった身体を落ち葉へ横たえた。そしてしばらく口づけをしながら自然と時間を共有した。