アリエスの女 始まりの章-6
「ゆっくりね」
「はい」
少しずつ腰を落としていき肉棒を蜜壺に埋めていく。
「あ、ああっ、ああん、ああ。ぜ、全部、はいった」
やっとご褒美がもらえた犬のように彼女は嬉しそうに腰を振る。
「好きなように動いてごらん」
彼女は僕の顔色をうかがいながら緩やかに腰を前後運動させ始める。下から見上げる彼女は激しいダンスをするように躍動感あふれる動きをし、光りながら飛び散る汗は宝石の様だ。引き締まった二の腕、腹筋と形の良い乳房が波打つ。彼女はまさしく見せる仕事をするために生まれてきた人だと感心せざる負えない。同性からもの憧れの対象となっていることだろう。
しばらく自由に動かせた後、僕は彼女のアナルに指を這わせた。
「あ、きゃん、やだ」
真帆の動きが停まり僕に注意を払った。
「身体だけじゃなくて中から動かすんだよ。お尻の穴を締めたり緩めたりしてごらん」
「は、はい」
呑み込みが早い真帆はしばらくすると自在にヴァギナを収縮させられるようになった。
「上手いね。今度はここにクリトリスをこすりつけながら動いて」
「あああん、ううう、あっあん、はああん、あああっ」
真帆は恍惚とし始めながらも動きをやめない。さらさらしていた愛液が粘質を帯び始めると彼女のラビアがびちゃびちゃとはためき始める。
「う、はあ。すごいな。びしょびしょだよ」
「や、やだあっ、はずっか、しぃいい」
羞恥心と快感では快感が圧勝のようで僕の言葉は風のように通り抜け彼女はもう自分の目的のためだけに動いている。彼女の腰をつかんで動きを少し止めて下から突き上げてみる。
「んんんっ、あっ、くっうううん、あっはああああああ」
流石にこう激しく動かれていては僕にも限界がやってきた。
「あ、だ、だめだ。もう僕も出そうだ」
もう何も聞いていない彼女の身体をひっくり返し、僕が上になる。少し動かしてから肉棒を引き抜き、軽く根元を抑えて彼女の額に射精した。
「あーぁ……。はあぁ……」
真帆は残念そうなため息混じりのうめき声をだし射精するさまを見つめていた。肩で息をしながら僕は白濁した汁で汚れた額を綺麗にティッシュペーパーでぬぐってやる。
「ごめんね。僕がしてあげられるのはこれくらいだよ」
横たわっている真帆の足を開かせ濡れそぼったクレバスを丁寧に拭く。
「あっ、あは」
まだ快感が残っているのか彼女はとろりとした表情で清拭する僕を見つめる。綺麗になったところで僕はシャツを羽織りコーヒーを淹れに台所に向かった。
コーヒーを持って寝室に戻ると真帆もきちんとワンピースを着ていてベッドに静かに腰かけていた。コーヒーを差し出すと「ありがとうございます」と頭を下げて受け取った。
半分ほど黙って飲み僕は声を掛けた。
「疲れた?」
「いえ。平気です」
しばらくの沈黙ののち真帆が話し始めた。
「先生。ありがとうございました。なんとなくこれからは大丈夫な気がします」
「そうか」
「あ、あの。すごく気持ちよかったです」
小声で恥ずかしそうに言う彼女がとても可愛らしく感じた。
「君ならなんでも成功するよ。占いも卒業だね。ああ、スクールはもう来ないんだったよね」
「すみません。もともと自分の事だけを知ってどうしたら成功できるかってことに興味があったのでそろそろ勉強も限界だったんです」
「いいんだ。いいタイミングだったんだね」
「でも、先生だったからここまで続けられたんだと思います」
「ありがとう」
さっきまでの熱い官能の空間が今や静かなしんみりとした別れの時間になっている。
真帆は髪を手で整えながら
「今までありがとうございました。もし今好きな人がいなかったら先生のこと好きになっていると思います」
爽やかな笑顔を見せて立ち上がった。遅れて僕も立ち上がる。
「帰れる?」
「ええ」
「さすが。タフだね」
「ふふ。体力には自信があるんです」
外に出ると星が瞬いている。山深い僕の家は街の明かりが届かず月明かりと星の輝きをより間近に感じられる。
「綺麗……」
「うん」
――君も綺麗だと言いたい気持ちを抑えて彼女の車まで送った。彼女はもう僕のほうを振り返らないだろう。エンジンをかけ頭をぺこりと下げて発進する彼女の瞳には明日が映っているようだ。手を振り赤い車が闇の中に消えていくまで僕は見送った。
彼女の情熱的で扇動力のある態度はとても魅力的だった。長らく忘れていた女性への渇望を思い起こさせる真帆は僕の中の欲望を喚起させたような気がする。
「初めての女か……」
近くて高い夜空を眺めてしばらく立ち尽くしていた。