心の映写機-3
ありがとう。
カタカタカタ。
頭の中で映写機が激しく回り出す。今まで止まっていた分を取り戻すように。
そうだ、確かにあの夕立の時に彼女はこう言ったんだ。
ありがとう、ごめんね。
映写機の中に君の姿はもうなくなっていて、8ミリフィルムを回したようなどこかレトロな白い画面だけが俺の頭の中にあった。
夕立が上がった空を見る。夜なのに空は明るく、夢に、力に満ち溢れていた。
カタカタ……。
今度はこの映写機に誰が写るのか、それは俺にも分からない。
ただ、今度はもっと幸せな映像が流せる気がする。
君のこれからに幸多からん事を。
馬鹿みたいに純粋な気持ちで祈るよ。
カタカタカタ……。
俺の中の映写機が再び回り始めた。