隠し撮り性交動画-1
健二の仕事が決まったことは喜ばしいが、出張が多いのは予想外だった。
消火器の需要などそうそうあるものではないので、県外まで売り歩いているのである。
その分給料は悪くなく、なんとか借金は少しずつ返せそうな目処が立ったので、和子は意を決して岡本に電話した。
「…岡本さん、今月からは普通にお金でお支払いします…だから…」
「ああ、そうですか。ご主人仕事が決まったのね。良かったね。今いるの?」
「今出張で…」
「……あら、そう。いや、別に延滞金もつけないし、安心してって言おうと思っただけなんだけどね」
和子との性交に執着するかと身構えていた和子は、ほっと肩の力を抜いた。
「一週間出張なんです…出張が多い仕事で」
「…なるほどね。じゃ、振込口座はわかるよね、そちらに振り込んで頂戴」
あっさりと終わった話し合いに、和子は安心して床にしゃがみこんだ。
もうピルを飲むのはやめよう。
岡本と性交する時に着るのを強要された、男を興奮させるためだけの下品な性交用の下着や、
キャミソール、ベビードールなども全部捨ててしまおう。
そう考え、ここ数ヶ月暗雲のように立ち込めていた暗い気持ちが晴れると、笑みが溢れるのを止められなかった。
二日後、和子あてに郵便物が届いた。
不審に思いながら中身を開けるとDVDが一枚入っていた。メモもなにもない。
意味がわからず、不吉な思いに手を震わせながら再生すると、そこには岡本と和子が性交する様子が明瞭に映っていた。
岡本の前に正座して男根を咥え、精液を飲み干す様子、尻を差し出した和子の性器に射精する様子、
スカートを捲りあげられ、尻を触られながら自分から手を伸ばして岡本の男根を愛撫するところ、
これまでの性交の様子が様々な角度から撮影されていた。
和子は放心状態で画面を見ていたが、暫くして慌てて再生を止めると、怒りと悲しみに声を震わせながら、岡本に電話した。
「…ひどい…ひどい…隠し撮りしてたのね…言われたことは全部したのに…恥ずかしかったのに…」
途中から声にならず、泣き出した和子に岡本は嬉しそうに言った。
「記念だよ。記念。私の家にはあちこちに監視カメラがあってね。
そういえば録画されていたはずだと思ってDVDに焼いておいたんだ。コピーもたくさんあるよ」
「…ひどい…」
他に言葉が出ず、和子はスマホを持ち、震えながら立ち尽くした。いつの間にか涙が溢れ出していた。
「明日は土曜日だから子供はサッカーチームの練習でしょ。午後行くから、いつもみたいにスケベな下着で待っててね。」
「いやっ! 嫌ですそんな事…あの…いつもみたいに私が行きます。」
「普段夫婦がセックスしているところでやりたいんだよ。それじゃあね。」
電話は一方的に切れており、絶望感に打ちひしがれた和子はその場にしゃがみこんた。