『茜色の空に、始まり』-8
プラネタリウムみたいだ、とおかしな事を思ってしまったが、その位、まるで人工的に造られた夜空の様に沢山の星が散りばめられていた。
ついさっきの、もやもやした胸のつかえが、スッと消えて行く。
「周りが暗いから、いっぱい見えるよね。」
惚けてしまった僕に、明香さんが座ったまま付け足す。
僕は、蛍や夜空でこんなにも心を揺さぶられるものなのか、と僕自身驚いていた。
明香さんの周りには自然にそんな事が溢れている。そんな気がする。
僕はでも、
「明香さんって、マイペース、ですね。」
と、つい口に出てしまった。そんな事が言いたいんじゃないのに。
ちょっとしまった、と後悔して、
「良い意味で、ですよ。すみません。」
と、慌ててフォローにならないフォローしてみたが、明香さんは別に気を悪くする風ではなくて、
「うん、そうね。変わってるかも。」
ふふ、と、歓迎会で見せたいたずらっ子の微笑みを浮かべた。
その笑顔を見た瞬間、僕は悟ってしまった。
この人が好きなのだ。と。
きっと始めから。初めて会った時から。
夜空はますます星を輝かせ、時が止まってしまったかの様に静かに僕達を包んでいた。