『綺麗なブルー』-2
『愛する我が妹 ノエルへ。
驚かないでほしい。
僕はまだ、そこには居ない事だと思う。
もし、居るとしたならこの手紙を共に読んで笑って、破り捨ててしまおう。
自分の書いた手紙というのは、たいてい恥ずかしいものだからね。
でも僕が帰って来ないうちは、捨ててはならない。
僕が帰って来るまで、捨ててはいけない。
それがもし、永久だとするなら、お前にはこれを永久に持っていてほしい。
お前は、怖い事を言う兄だと笑うかも知れない。
でも思い出してみてくれ。僕は幼い頃、お前によく怖い事を言っては泣かせていた。
“ノエル、お前の口にカマキリ入れてやる!”
…とかね。
その言葉と同じように、この手紙で言う事も冗談ならいいのに。
…いいかいノエル。
僕は好きでこれを書いてるんじゃない。
これではまるで…そう、遺書みたいだからね。
だから、約束してほしい事がある。
もし、パトリシアが哀しみに暮れているなら…お前がそばについててやってほしい。
もっともこんな事、彼女の親友であるお前にわざわざ頼む事じゃないかも知れない。
それでも、約束だ。
僕が帰って来るまでの間、彼女のそばにいてあげてほしい。
そしてまだ僕がいない時点でも、彼女にその必要がなくなった時は…
彼女の自由を尊重するんだ。
そして、同封してあるもう一通の手紙を彼女に渡してくれ。
それまでは決して、彼女に渡してはならない。
渡す時の判断は、お前に任せるよノエル。
彼女の瞳が、またいつもの綺麗なブルーに戻った時にでも渡してくれるといい。
そしてノエル。
愛しているよ。
父さんも母さんも、そしてパトリシアも。
みんなみんな、愛している。
…ほら、玄関を見るのをやめろよ。
僕はみんなに1番近い所から、いつでも“愛している”と言っているからね。
また、怖いなんて思わせた?
そうだよ、僕も怖い。
早くみんなに会いたい。
でもペンを置いたらきっと、何もかもが怖くなくなると思うから。
…じゃあ、また。
ジョシュ・バックリィ』