哀-2
静かに瞬いて、Rはリョウを見返した。
「母親を責める代わりに自分を責めるのは、よせ」
息を吐くようにRがそう言った時、リョウは自分が涙を流しているのに気が付いた。
「俺は・・・」
「俺は、お前を責めない。だから、お前も責めるな」
「なぜ・・・だ」
「俺をレイプした男達は生き地獄に落してやった。今頃、死ぬか死を考えているかのどちらかだが・・・お前は、そうする気になれないな。どうしたものか・・・」
「俺にも罰を与えてくれ・・・!!」
救いを求めるように詰め寄るリョウに、Rは咎めるような眼差しで応える。
「許すとは言ってないぞ。とりあえず服を取って来い」
そう言いロッカーの位置を指図する。
数分後、衣服を整えたRは立ち上がって髪の土を払いながら
「あとは、レースの後に決めよう」
と、微笑した。
Rの屈託ない表情を見てリョウは、この先Rは何も決めてくれはしないんじゃないかと予感した。
「決めてくれるまで・・・」
「ん?」
「決めてくれるまで、傍にいても構わないか?」
「・・・。好きにしろ」
先へ行くRの横にリョウは並び、歩き出した。