声が漏れては・・・-1
「お尻、出して。・・・やりたくなった」
僕はそれだけ言うと、そっと芳恵に迫る。
あまりに唐突な若いオトコの勃起を見せつけられ、芳恵は固まり続けていたが、やがて何事か思い至ったのだろう。
「・・・ここは仕事場よ?さすがに、ダメよ。・・・でも、これなら・・・いいわ・・・」
セックスはダメだ、と芳恵は言った。これならいい、と彼女は僕の勃起ににじり寄り、唇を開き、その唇で僕の亀頭を包み始めた。
「はっ、はっ、はっ・・・」
彼女の巧みな舌さばきに、早くも僕は声を喘がせる。芳恵のよがり声がまだ僕の耳に残っている。絶頂の声も何度もこだまする。そんな中で僕の勃起は張り裂けそうに膨張している。それを彼女は含んでくれたのだ、すぐにでも爆発しそうになった。
彼女の舌使いは絶妙だった。そして強力に僕を吸い、頭を激しく振って、陰茎のすべてを刺激する。片手は陰茎の根元を、そしてもう片方の手は僕の陰嚢をやわやわと揉み、僕はすぐにでも彼女の口の中に暴発しかける。
芳恵の強烈なフェラチオに、すべてを委ねたい気持ちが傾く。
「うっ、ううっ・・・。はっ、だ、ダメだ」
僕は吸い付く芳恵の頭を手で制し、押しのけた。
「ふうっ、ふうっ、な、なによ?・・・イッていいのよ?また呑んであげるから」
赤い顔をし肩で息する芳恵もまた興奮していたのだろう。息を喘がせ、そう囁いた。
「ダメだよ。お尻を向けて。バックで」
僕は執拗に彼女の女性器を求めていた。その快楽を産む彼女の一部は僕のもの、そう思い、信じ込んでいる。老人の指や舌で穢されたそこを、上書きするのは僕の役目、そう信じ切っていた。
「わかった・・・わ。こんなところでシタイだなんて・・・。でも、気を付けて。奥には老夫妻が居るのよ?・・・激しくはしないで。・・・疲れているの・・・」
そう言いながらも芳恵は、自分からスチール棚の柱を掴み、お尻を突き出した。
僕は自分の勃起を擦りつつ、芳恵の背後に陣取ると、彼女のスカートを捲り上げた。鮮やかな黄色のパンティーが、彼女のお尻を包んでいる。僕は少なからず安堵した。老人が与えた下着は既に脱ぎ捨てられていた。朝、僕の悪戯で濡らしたパンティ―を履き替えたその下着姿だった。
安堵を覚えたのは他でもない、指と舌、そしてディルドゥで絶頂まで運ばれた芳恵だったが、少なくともあの老人に心まで許していない証に見えた。老人が芳恵の心の中にいる存在だとすれば、彼の贈り物を身に着けているはずだ。
棚の柱を掴みながら、芳恵は振り向き、恥ずかしそうに言う。
「アナタがそんなの見せるから・・・。もう濡れちゃったよ」
照れ隠しなのだろうが、僕の興奮が伝播したのだ、以心伝心、嬉しく思った。
ひと思いに、ゆで卵の殻を剥くようにつるりと黄色のパンティーを剥いだ。まさしくゆで卵のような白いお尻が現れ、僕は確かめるようにその谷間を左右に割る。彼女の言うとおり、そこはしとどに濡れていた。
老人に悪戯されて濡らした秘所を、当然、彼女は拭ったろうが、そこから芳恵の籠った性臭が沸き上がり漂ってくる。それは僕の勃起を見た期待感に濡らし始めて漂ったものではない。熟成、という言葉が似合うような、イヤラシイ匂いだ。
考えてみれば、芳恵のここは、朝から受難であった。運転中の僕の悪戯、そして老人の指や舌、そしておとなのオモチャで弄われて、乾く暇がないほどだ。熟した匂いを放っているのは当然だと思う。
鼻をくすぐる彼女の匂いに惹き寄せられ、鮮烈な老人との遊びに触発された僕の勃起を、谷間に宛がった。彼女の真っ白なお尻の真ん中に、僕の紫がかった亀頭が据え置かれた光景が目に染みる。僕の元に帰って来たんだ、その思いが僕を衝き動かし、腰だめから勢いよく貫いた。
「あっ、ううんっ・・・」
悲鳴じみた喘ぎが書庫内に響く。芳恵は思わず上げてしまった声に、自らが驚き、慌てて口を塞ぐ。だが僕は、彼女に突き込んで得られた、熱い締め付けに気を取られ、彼女の大きな喘ぎ声こそ、耳に心地よく聞こえてしまう。
「むうぅ、むうぅ・・・」
抜き差しごとに低く唸る芳恵の声に、僕は新鮮さを感じた。笛の音のように高く、歌うように喘ぐ芳恵の声も捨てがたいが、快感の声を外に漏らすまいと、呻く彼女の唸り声も興奮せずにはいられない。
(もっと聞かせて!その獣じみた唸り声!)
僕はそう心の中で叫びつつ、腰を突きあげ、彼女のお尻を犯し続ける。