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予定外の家主
【ファンタジー 官能小説】

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序章-1



     序章


「ケータイ! そこに忘れてた」
 待ち合わせで入ったゲームセンターの入口、同じ学校の制服三人組に声をかけた。
 笹戸悠紀。現地に通う中学二年。
 背中向きで分からなかったが三人の中の一人は、見知った男子の一人。
 同じクラスの蓮見……通称、レンミ。付き合いの広い男子だった。
「これ、ササが見付けたのか? レアモデルだけど、盗もうとしなかった?」
 話かけられて足を止める。
「そだな、高級品なら手放すなよ」
 ゲキレアなのに、とちょっと不満そうな顔をされる。
 時間が迫っていた、方向を確かめて、一歩、駆けた時だった。
「よう! 待った! 親切なササに、ウマい話がある」
 呼び留められて、いらいらが隠せない。


「バスが来る! 後、五分しかない」
「タクシー代、出してやる」
「バス降りてからスーパーで、特売セールしてんだ」
「主婦かお前は? 明日の弁当、プレゼンするよ」
「卵も買うし、他にある。ごめん、急いでるから」
「俺が代理を頼むから、話聞けよ! マジトークしてんだ」
 ゲーセンで遊んでた同級生が、スーパーの特売に代理を頼むとか。
 どこまで本気で喋ってるのか、悠紀としては良い迷惑だった……。「まず、タクシー代、つりいらないから、持ってけ」
 蓮見は財布から、札を二枚抜くと悠紀の手首にふわっ、と乗せて遊ぶ。
 色々と納得できないし、疑問もある中で……口にせずに黙って受け入れた。
 肩を掴まれて、のんびり中へと戻りながら、
「ササって、今、好きな女子とかいるか?」
「いないかな」
「少しくらい悩め。認めてないけど、いそうだな」
「人の話、聞けよ」
「藤代とか、うるさいけどスタイル良いだろ」


「歯並び、ガタガタなの知ってるだろ?」
 よく喋り、よく笑うので……自然と口の中の歯並びは見えてしまう。
 ――隣のクラスの男子、蓮見から告げられたのはバイトの話だった。
 お小遣いとしては高い収入、何よりも気になる女子と働ける……。
 半信半疑の数分間。
「……船葉か、ふうん。ツラは俺好みじゃないけど、あれが好みか」
 蓮見がにやにやしながら相槌する。「もし彼女なら、押し倒したいとか?」
「強いて選ぶならだよ。普通に、デートしたいだけ」
「何だ、片想いか? キスしたいとか、どんなパンツかとか、どうでも良い?」
「人並には、色々したいけど」
 蓮見が、がしっと肩を抱くと、
「よし、分かった。バイトの件は追って連絡する」
「やるって言ってないだろ」
「船葉が相棒なら、やる気になるだろ? エッチもできる」
 一瞬だけ、悠紀の顔色が変わる。
「エッチもできるとか、何の話してる?」
「船葉とデートして、パンツも見たいだろ?」


「いや、どうでも良いよ」
「誘導したら名指しで、船葉の事、言ったぜ?」
「何の話だよ!」
「個人情報は悪用しないから、安心しろ。キスは勿論、オッパイ触れるぞ」
「人の話、聞けよ!」
 ――言われた事の半分、覚えてるかどうかで蓮見とは解散した。
 ためらいもなく渡されたタクシー代。
 最初で最後か、手を挙げてタクシーを呼び掴まえると、自宅を兼ねた学生寮へと目的地を告げる。快適だけど落ち着かない……。
 タクシーを降りると、学生寮の前にナイロン袋を提げた制服の女の子が見えた。
 時間差で蓮見に言われた話を少しずつ思い出す。
「どこまで証明すれば、俺の話を信用する?」
 と蓮見に訊かれた。
「笹戸、君かな?」
 女の子から口を開くと「特売で買えって頼まれた分、これと……」
 ちらっと自身の身体を見下ろすと、
「胸、触って」


 誘われるままに、胸に手を添えて撫でると、女の子が笑って手首を掴む。「気持ち良いって……ならないとお仕事、終われないからちゃんとね」
 誘導されて、くしゃくしゃとふくらみを揉んで捏ねる。
 女の子の笑顔が消えて、息が乱れて……。
「上手だけど、もっと。……ちゃんと揉んで」
 相槌みたいな小声が漏れて、視線が合う。仕草が艶やかで、無意識に悠紀も興奮していた。
 何も抵抗なく、服の前を解いてはだけると下着越し、ふくらみを揉んで捏ねる。
 ――どのくらい長く触ってたのか。
 寮の前に、またタクシーの停車音が聞こえて、悠紀の理性が戻った。
「あれ? 続けてて良いぜ。お楽しみ、真っ只中だったか」
 降りて来たのが蓮見だった。「へえ、やる事やってんじゃん?」
 と蓮見もはだけた女の子の胸を掴むと、女の子の表情が一変する。
「相手するの、笹戸のはずだけど?」
 うっとりしていた顔が不機嫌の塊に変わるも……胸を揉まれて、身体が反応する。 
 ちょっと……とか口で反撃するも、殴って止める勇気はないらしい。
「ササは、バイトを受ける気になったか?」
 乳首を責められて、女の子が不満そうに身体を任せてしまう。


「蓮見が触ってても意味ないって……ちょっと!」
 様子を見てた悠紀に冷静さが戻ると、買い物袋の中を見下ろす。
「弁当がカレー特盛とか、サービスし過ぎだけどな」
「信用したならバイトも受けろ」
「蓮見が手配してるのか?」
「俺はグループの、ただの下っ端だよ」
 蓮見は、それ以上は多くを語ろうともせずに女の子の胸を弄んで――。
 訂正、女の子の胸に夢中なだけか、と悠紀は思い改めた。




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