不倫の顛末-16
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「イくぞ!リカ!」
「あっ!きて、いっぱい…あああっ!」
地下の倉庫内。リカとの情交を終えて私は煙草に火を点ける。ふーと息を吐き、余韻に浸っているリカを横目で見やる。
私は──────実の所飽いていた。
花蓮の若い肌も、リカの豊満な身体も、全て食い尽くした。また別の女を狩りたいという男の本能が湧き上がっている。
二人を手放すのも難しいがそろそろ頃合いだとも考えている。
「係長…」
まだ息の整っていないリカが私を呼びかける。
「何かね」
「もっと…欲しいです…」
…これだ。
いくら特上の大トロでも腹一杯食った上でまた口に放り込むとなると流石に吐き気を催す。
リカの性欲は花蓮の比にならない。女はいくらでもイけるが男はそうはいかないのだ。
そうは言っても、ここで無碍に断るのも男が廃る。私は点けたばかりの煙草を揉み消して、再びリカの元へ行った。
「私が…動きます」
リカは私をソファへ押し倒し、上へと跨ってきた。初めの頃と比べたら随分と積極的になったものだ。
「んぅ…っ」
にゅるっといとも容易く膣内へ挿入る。飽いたとは言え、やはり極上のまんこだ。いい具合の締め付けを感じる。
「係長…私のおまんこ気持ちいいですか?」
「ああ、気持ち良いよ」
「…花蓮ちゃんよりも?」
面倒だ。ここで花蓮の名を出す必要無いだろう。心を満たすためだけの性行為など無意味だ。
「花蓮には花蓮の良さがあって、リカにはリカの────」
「そんな事…聞いてません」
キュッと内壁が締まり、私は「おうっ」と声を漏らしてしまった。
「花蓮ちゃんと私のまんこ、どっちが気持ち良いですか?」
「…リカだ…」
そうとしか言えない空気。どこか背筋が寒くなった。リカはそれを聞くと「ふふふ」と笑って陰唇を使ってゆっくりとペニスを擦り上げていく。
「じゃあ…花蓮ちゃんをクビにしましょ?」
「なに?」
羽織っていたブラウスを脱ぎ捨て、リカは上半身裸になると大きな乳房を揺らしながら上下に動き始めた。
「んっあん!係長っ…」
「リカ…くん、君は………ううっ」
「樋口先輩クビにしたみたいに、花蓮ちゃんもクビにして…ね?」
「む、、」
無茶苦茶だ。この女、私を独占しようとしているのか。
「あっは、んっ!そしたら、このおちんちん…私だけのもの…、あっあっ、良いっ」
「そ、そんな事簡単に出来るわけ────」
「じゃあ…係長が辞める?」
「な!?何を言って」
「全部…撮ってるの。ケータイで」
「は?」
下から見上げてみるリカは、半ば乳房に隠されていて顔が見えない。やけに透き通るリカの声だけが私の耳に届く。
「係長とのエッチ、私としてるところも、花蓮ちゃんとしてるところも、全部ケータイで撮ってるの」
「な、な…」
「これぇ、上層部に流したら…どうなるかなぁって…」
「や、や、やめなさ」
「いいから、もっと下から突いて」
私はただ怯え、がむしゃらに腰を動かす。
「あん!そう…もっと……あっ、気持ちいい!係長のおちんちん良い!」
「リカくん、データは」
「花蓮ちゃんをクビにするか、皆一緒に終わるか……答えは二つに一つ…」
「リカく…」
「そろそろ終わらせたい」
「…え?」
「そう、思ってたでしょ…」
揺れる乳房の隙間からちらりと顔が見えた。目が合う。
「最初の頃と比べて、セックスに気持ちが乗ってなかったの………気付いてないとでも思ってましたか…?」
血の気が引く。彼女の…リカの目が…。
「薬なんか盛るから余計…。一回や二回で満足なんか出来なくなっちゃった…」
気持ちは萎えている。それなのに私のイチモツは硬度を保っている。
「このお香は男の人にもちゃんと効いてるのかな?まだガチガチだもんね…係長のおちんぽ………ふふ…」
リカの割れ目から溢れる愛液が私の股を濡らしていく。まるで別の生き物のようにイチモツに吸い付き、離さない。
「飽きたの?私のまんこ。このおちんぽはもう別のまんこのことしか考えてないの?」
吸い付き締め付け、蹂躙していたはずの女が私を蹂躙して…。
「私は飽きてない…。満足してない…」
………蛇だ。乳房の隙間から垣間見えるリカの瞳は、狡猾な爬虫類の目で私を捕らえている。
「あっ、イくっ…イくぅ!!」
リカは強く腰を振り、そのまま上で絶頂を迎えた。膣が収縮を繰り返し、私の肉棒をまた心地良くさせて射精を促していく。
そして、呼吸を乱しながらリカはまた口を開いた。
「ねえ…私の全部あげるから…」
爬虫類の目。口元は笑みを浮かべているが、目は笑っていない。
「あなたの全部もちょうだい」
精液を吸い取られ、私は逃げ場が無いことを悟ると………力無く頷いた。
episode3 『雌に屈した雄』 完