帰らぬ妻 (3)-1
「ねぇ、もう一回アナルに挿れていい?」
「さすがに帰らなきゃ」
「帰るのは明日にしよう」
「何言ってるの? あなたも家庭があるでしょう?」
「さっき仕事で徹夜って連絡した。ゆきもそれでいいじゃん」
「……ぁん! ねぇ勝手に入ってこないで……」
「そんなこと言って、感じてるくせに」
「ちょっと休むだけって言ってたのに……んん!」
「だからこうやって『ご休憩』してるじゃん」
「んっ! んん……! ぁはん……!」
風呂で汚れを流し身体も温め、帰宅前の時間をふかふかのベッドでまったり過ごしていたはずの二人が、またセックスを始めてしまった。本当にゆきは今日帰ってくるのだろうか。
「これでアナルセックスは何回目?」
「んん! 知らない……。ん、んん! ぁはん……!」
「午前中に初めてして、風呂で二回目、夕方三回目……」
「うふふ、やだぁ……数えないで」
「外で四回目、おっさんにも一回やられて、これで六回目……!?」
ゆきは結局あのサラリーマンに、膣だけでなくアナルも犯された。見知らぬ男に口、女性器、肛門とすべての穴を使われ、射精されたことになる。
「もうあのおじさんの話はやめて……」
「痛くないの?」
「知らない……! んん! ぁ……そこ、気持ちいい……!」
「ゆきってさ、まんこも名器だけどアナルも超名器だな。今まで使ってなかったのがもったいないくらい」
「ぁ……! ぁ……ん! んぁぁ……! そこ、もっとして……!」
「ほら、チンポ肛門に突っ込まれて尻を突き出し色っぽい声だして……エロすぎる」
「だって……ぁ、ぁあ……気持ちいい」
Zにセックストイで肛門開発されていたときにもしきりに褒められていたが、ゆきはアナルも名器らしい。ZもFもサラリーマンも、最近ゆきと肉体関係を持った男はみな知っていることを、私だけが知らない。
「ほら、旦那さんに帰れないメール出して」
「えぇ? ここで?」
「うん、ここで」
「てか、なんでお泊まり決定みたいに言ってるの?」
「いいからいいから」
「ゆき、帰りたい」
「もう電車ないよ」
「今すぐ出れば間に合うもん」
「今すぐ出ればね。出れるの? ほら……!」
「ぁあん! ぁあだめそれ気持ちいい! いっちゃう、お尻の穴でまたいっちゃうぁぁああ!」
「やめる?」
「やめない……」
「終電間に合わないけど?」
「ぁあいじわる……! やめないでお願い……! ぁあ、それもっとして! そこ気持ちいいのぁああ……!」
「でも今すぐ出るって」
「ぁぁん……! ちょっとだけなら大丈夫だから……! だからねぇ、早くイッて!」
「そんなすぐイケないよ」
「ぁん! ぁ……! 早く出して! パパに会いたいよぉ……!」
「へぇ、ゆきって『パパ』って呼んでるんだ。ラブラブだね」
「そうだよ。パパ大好きだもん……ぁあ、そこ、気持ちいい……!」
「なのに他の男と不倫してアナルセックスまでして」
「ぁあ言わないで、ごめんなさい……! ぁ、やめないで……」
「あんなキモいおっさんにまでイかされてチンポ咥えて……」
「だからおのおじさんの話はしないで! もう忘れたい……あとやめないで、ねぇ動いて……!」
「『パパ』に絶対言えない秘密ができちゃったね」
「ねぇ動いてくれないの? Fくんエッチしよ? ゆきのこと気持ちよくして……」
*
《パパ、今日なんだけど、泊まっていってもいいかな?》
Fに焦らされた挙げ句、帰るかセックス継続かの二者択一を迫られたゆきは、結局Fとのアナルセックスを選んでしまう。肛門に不倫ペニスを挿し込んだままの状態で、私にメッセージを送らされているのだ。イヤホンからは、「絶対スマホ画面見ないで……」「すぐ終わるから……」というゆきの甘えた声。
《ゆき! どうしたの? 何かあった?》
《ごめんね、心配しないで》
《大丈夫なの? じゃあなんで?》
さすがに答えにくいだろうか。
《ゆき、大丈夫だから本当のこと言って!》
なおも返事がないので訝しんでいると、「ねぇ動かないで……ぁん!」という妻の吐息が聞こえてきた。
「パパにメッセージ送れないよ……ぁふん!」「俺との泊まりを選んだご褒美」「うふふ……ありがと……ん、でもちょっと待って……て……っ」
《もう少しFくんと一緒にいたいです。ごめんなさい》
《俺のこと嫌いになっちゃったの?》
《そんなことあるわけないでしょ?》
《嫌いにはなってなくても、俺よりFさんの方が好きになった……?》
《それもない! 心配しないで!》
《じゃあなんで》
《怒らないで聞いてくれる?》
《うん》
《エッチが気持ちいいから》
《ああゆき……》
《ごめんね》
《まだエッチしたいの?》
《はい……》
《一晩中? これからまたするの?》
《たぶんする。ごめんね》
「ゃん……そこ気持ちいい……」「ここ?」「そうそこ……旦那とメール終わったら、そこ、生チンポでつんつんして……」「ぁん! 今じゃなくて…………ぁあ!」
《直接声聞きたいな。電話していい?》
《だめ!》
《いいじゃん》
《聞かれたら困る》
《トイレからなら》
《それでもだめ》
《じゃあ泊まり許可しない》
《だめなの? だめだよね》
《うん》