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思い出の更新
【ロリ 官能小説】

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卒業-1

 亨の両親は共働きで、家を出るのは亨より大分早い。かの翌日、疲れから朝寝坊した亨は、遅刻ぎりぎりで校門に滑り込んだ。
 本来なら完全に遅刻の時間。今日は卒業式の前日で、特例で九時四〇分の始業となっていたから、何とか間に合ったのだ。
 教室には既に城之内先生がいたが、何故か隣に華の姿がなかった。
(昨日あんなに頑張っちゃたから、華ちゃんもお疲れなんだろうな…。しかしそれにしても昨日は凄かった…。性があんなに凄いものだなんて…)
 艶かしく喘ぎ身悶える華の痴態を、肉体の弾力を、膣の圧力を、匂いを、味を、亨は脳内で反芻して、一人悦に入っていた。
「えー、卒業式の予行の前に、皆さんにお伝えすることがあります」
 先生が改まって言った。
「先月、山田華ちゃんのお母様が来られてお話を伺ったのですが、華ちゃんのお父様がアメリカのアイオワに転勤になり、家族で向こうで生活することになったそうです。今日の午前十時の飛行機で成田を発つとのことでした。華ちゃんには、出発前にみんなにご挨拶するようにと提案しましたが、悲しいお別れになりそうで嫌だと、断られてしまいました。その代わり、今朝早く、華ちゃんが出発前に来てくれて、みんな個人宛のメッセージカードを残してくれました。今から配ります。華ちゃんは、『今まで、いつも、ずっとずっとありがとう、楽しい学校生活でした、みんな元気で頑張ってください』、と言ってました。皆さんも、学校のためクラスのために色々頑張ってくれた華ちゃんに感謝し、前途を応援してあげてください」
 昨日の今日だし、みんな驚いて亨に目をやった。視線の集中を受けた亨にしたって青天の霹靂だ。
 亨はようやく、昨夜の華の最後の言葉を思い出して心の中で復唱した。
(さようなら)
 先生は一枚一枚、カードの宛名を確認しながら配り歩いている。席の位置的に亨は最後のほうになるのでもどかしかった。
 そしてようやく亨にカードが渡された。慌てて、しかし丁寧に、封を剥がした。

* 亨君
   いつも親切にしてくれてありがとう。
   泳げるようにしてくれてありがとう。
   私が好きになれてありがとう。
   汚れた私を好きになってくれてありがとう。
   そしてとても素敵な体験をありがとう。
   亨君とのあのことは、私の一生の思い出です。
   私のかけがえの無い宝物です。
   立派な大人になって、また会えるといいな。
   元気で頑張ってください。
   大好きです。
   言葉にできないくらい。
    山田華 *

 華ちゃんらしい丁寧で綺麗な字で、しめて175文字。一昨日の手紙のちょうど七倍の文字数だった。
 亨は、この三日間で七倍くらい成長できたような気がして、とても嬉しくなって、このカードにキスをした。

(完)


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