テキスト・ブック-7
「おい、本」
「なんだ」
「なんなんだよこれ」
「理屈は今はいいだろう。しかし起こったことは起こった。」
「…」
「どうするのだ?このまま死ぬか?人を虐げるか?もはやこの世に法はない。それとも…」
「…」
拓哉の答えはなかった。広場の地面には血の日本語が書いてあった。
たすけて
なにも思い浮かばなかった。それが人間の反応だった。
夢ではなかった。現実だった。なす術はなく手にはなにもない。
なにを為せばいいのか、どこへ行けばいいのか。
拓哉には、わからなかった。