とある刀の物語-1
私は多くの首を跳ねた
いや、首だけではなかろう
逃げ惑う人間を後ろから斬ったこともあった
兵士、村人……
男女の区別なく殺した
時には無抵抗な子供を斬ったこともある
斬るたびに我が主の鎧は鮮やかな赤い鎧と化した
私は世に言う「名刀」らしい………
しかし私は只の人斬り包丁でしかない
そして戦乱は終わり私は罪人を処刑する刀にされた
可笑しいものだ
昔は名刀と言われた私が今では罪人を斬るための刀とはな……
偶然かどうかは分からないが私を最初に使うのは戦いを供にした我が主らしい
ついに私が初めて処刑に使用されるときがやってきた
処刑台には罪人が座っていた
若い女性だろうか?
なにやら震えているが私には関係の無いことだ
主が処刑を執行する前に罪人と会話を交えていた
どうやらこの二人は恋人同士らしい
皮肉なものだ
多くの人を殺した人間が最愛の人を殺すことになるとは……
そして