Adolescence〜14歳〜-1
俺は今まで、恋だとかときめきだとか、
そういう物に触れたくなかったけれど…けれど…
…自分がよく分からなくなってる。
―― Adolescence〜14歳〜 ――
「お前好きな女とかいねぇの?」
友達に対して、無性に出るこの言葉。
「いねぇけど…お前はどうなんだよ?」
「…別に」
好きな女なんて俺には居なかったけど・・・・
最近になって、いや、中学になってから?
クラスの女子を見てると、大抵話している話題は男子の事だけだ。
男子も女子も、何か段々変わっているような気がして…俺は怖かった。
保健体育の授業が何故か…興味に近い気持ちが沸いてきたりして、なんか変な気分だ。
小学校の頃は女子の方が背が高く感じたのに、いつの間にか女子は俺の視界の下に居て…
なんだろう…この気持ちは…―。
「ねえ彰君。好きな子のタイプ、教えてくれない?」
突然クラスの女子達4人に尋ねられて、俺はドキッとした。
「なんだよ。別に好きな女のタイプなんて知らねーよ」
俺はそっけなく答えた。
「そんな事言わずにさぁ…ねぇどんな子タイプ??」
視界に写った、制服からの一人の女子の胸の膨らみが、俺に眩しく見えた。
「…お前らみたいにギャーギャー言わない奴」
「へぇ〜!じゃぁ、サダコが好きなの?」
加藤がニヤニヤ笑いながら、サダコというあだ名の付いた吉岡をまっすぐ指で指した。
吉岡は黒髪を貞子のように伸ばした女子で、気色が悪いと女子の間で悪口を散々言われて、友達は一人もいなかった。
「お前らよりマシなんじゃねぇの??うるさいから早く席に戻ってくんない?」
「なにソレ!あんなサダコの何がいいの??!」
そんな時、チャイムが鳴って女子はぐちぐち言いながら席に着いた。
最近は授業中でもボーッとする事が多い。別にしたくもない勉強なんてしたくなかった。
放課後、急に夕方の空に雨が降り出した。
「やべぇ…雨降り出したな」
学ランはもう濡れてきた。相合傘で男子と女子が傘に入るのもいた。