Adolescence〜14歳〜-2
「傘…入る?」
背後に気配を感じた。…それは、吉岡だった。花柄の傘を差し出してくる。
「いや…いいよ。」
「でも…濡れちゃうよ…?私は全然構わないから、一緒に入ろ?」
「分かった、ごめんな」
気恥ずかしかったけど、吉岡の優しい気持ちに俺は惹かれたような気がする。
吉岡の髪は、長くてサダコと言われてるけど、よく見ると綺麗だった。
「お前…なんでいつも一人なの?」
俺は発作的に声が出た。
「みんな…私の事が嫌いだから…この髪と性格のせいだよね…」
「髪…切らないの?」
そういえば、吉岡は小学校から一緒だったけれど髪はいつも一定で長かった。
「…切った方がいいかな…?」
「え…?たまにはイメチェンもいいんじゃないの?」
「…」
その時、雨が大降りになって降ってきた。2人で傘に入っているので、肩が濡れる。
すると、吉岡は傘の内側に寄ってきた。
既に俺の心臓は高鳴っていた。
…14年間生きてきて俺は一番ドキドキした瞬間だった。
次の日、吉岡は髪をバッサリ切り、ショートカットにしていた。
吉岡と目が合った。ニコリと笑う。俺も不器用に笑い返す。
心の中で吉岡と何か繋がった気がした…―。
本当に小さな繋がりかもしれないけれど…。