らぶすとぅりぃ*貝-1
S.Sから見た、K.Sの見た目で判断した第一印象。(プライバシー保護の為、音声は変えてあります。)
『え?さ《ピ━》やの第一印象?んー…、とりあえず黒い?みたいな?あ、頭は白かったわね。坊主したてなんです俺、的な要素抜群って感じ?後、声と足がでかかったような…。目線はあたしと同じだったから…まぁちっちぇ男なんだなって思った…え?違う違う!器とかじゃなくてホント見た目がね、ちっちぇちっちぇ!それも眉毛ないから怖そなんだけど弱そでさぁ!そんなんだから器もちっちぇ男に見えなくもないけどね!あははっヒッヒッヒッヒッ…ゴホッゲホッ……ッうーぃ。』
K.Sから見た、S.Sの見た目で判断した第一印象。(プライバシー保護の為、音声は変えてあります。)
『はい…、あ、さ《ピ━━》りの第一印象ッスか?あー…、黄色かったスね。典型的黄色人種みたいな色で、最初はみかんでも食い過ぎたんだとばかり…、それにカチューシャ似合わなかったッスねぇ。あそこまで似合わないと逆に何も言えないっつぅか、それに笑い方がもろさんまさんって感じ…さんまさんわからない?あんたホントに日本人ッスか?さんまさんって言うのは…え?そんな説明いらない?なんなんスか、人の親切心を…はぁ?!もういいっスよ!!』
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たったの三秒間の沈黙が、栞にはやけに長く感じられた。そして、見知らぬ異性と見つめ合っているという事実に、栞は何の違和感も持たなかった。
「おい、和哉ぁ!」
その声にハッとして、栞は小さく肩を揺らせた。
見つめ合っていた男が声の方へ振り返る。
「おぉ!なんだぁ、ハルー?」
「!!!」
栞の肩が竦んで、顔が歪む。
あまりの声のでかさに、多少の軽蔑感を抱いてしまった栞。
「つぅか、お前声でけぇし。」
「ん?あー、わりぃわりぃ!」
こいつ絶対悪いってなんか思ってないね!悪いと思ってんのになんだよその声のでかさは!信じらんねぇっつぅの!!
栞は心の中でそう罵倒した。…はい?違いますよ?あくまで栞の心の中での気持ちであって、決して私の意見ではないことを弁解しておきましょう。一応。
「ほぉらッ!いつまでも馬鹿でかい声出してないで、早く席に着きなさい!」
パンパンと手を鳴らす音と共に、ちょっと低めの女性の声が教室内に響き渡った。
一年三組担任の五十嵐美和子(28)だ。現在二つ年下の彼と同棲中。
その声にそそくさと席につく彼と、その友達。
「はーい、HRを…、…櫻庭さん?!やっと来たわね!」
結構しかめっ面だった顔が、たちまち明るく爽やか(だろうか?)な笑顔へと豹変した。
「待ってたわよぉ〜!怪我のほうはもう大丈夫なの?」
美和子がチラと栞の足に視線を落とした。
「あ?…はッ、はい!もう全然大丈夫です!!」
栞は、一瞬何故美和子が自分の足に目をやったのかがわからなかったが、そういえば美和子にも足を骨折したと言っていたことに気付き、足でダカダカと床で踏み鳴らしてみせた。
「あら、ホントにもう全然大丈夫みたいね。良かったわ!!」
当たり前である。何しろ足なんて骨折しなかったのだから。まぁ足も怪我をしたと言えばしたが、自転車と衝突してできた軽い打撲程度である。
美和子にちょっとした罪悪感を覚えつつも、栞は何事もないかのように笑って応えた。
「えー…、じゃあ、折角だから櫻庭さんに自己紹介してもらいましょうか。」
「…はい?」
突然の美和子の提案に、間抜けな声を出してしまった栞。