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【家族 その他小説】

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悲しくなった。
あまりにも悲しくて、涙が溢れた。

ついさっきまで、本当に隣にいたような気がして。

また、ドアを開けていつものように「おや」という声が聞こえるような気がして。

今も当たり前のようにあの温もりに会える気がして。


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翌日。

植物状態だった父が目を覚ました。
奇跡だ、と医者は言っていた。
久しぶりに父の声を聞いた。いや、昨日夢の中で聞いたのだが。
久しぶりに父の笑った顔を見た。
だいぶ老けてしまったが、あの頃と変わらない少し格好つけたような笑顔。

私は、昨日見た父と祖母の夢を思い出した。

祖母は言った。『この子も起こそうかねぇ』と。

私は思った。
“祖母は私のところにくる前に父を起こしに行ったのだ。
父の魂を起こしに行ったのだ。”と。




私は祖母に何も言えなかった。
眠っていた夢の中の私は、祖母に何も言えなかった。

だから、ねぇおばあちゃん。
今度夢に出てきたときは、私、ちゃんと起きているから。

今よりもっと成長して、立派になってみせるから。

だから、ねぇおばあちゃん。

今度はちゃんと言うから聞いていて。

『ありがとう、おばあちゃん』





夢を見た。

とても優しい夢だった。


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