夢-2
悲しくなった。
あまりにも悲しくて、涙が溢れた。
ついさっきまで、本当に隣にいたような気がして。
また、ドアを開けていつものように「おや」という声が聞こえるような気がして。
今も当たり前のようにあの温もりに会える気がして。
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翌日。
植物状態だった父が目を覚ました。
奇跡だ、と医者は言っていた。
久しぶりに父の声を聞いた。いや、昨日夢の中で聞いたのだが。
久しぶりに父の笑った顔を見た。
だいぶ老けてしまったが、あの頃と変わらない少し格好つけたような笑顔。
私は、昨日見た父と祖母の夢を思い出した。
祖母は言った。『この子も起こそうかねぇ』と。
私は思った。
“祖母は私のところにくる前に父を起こしに行ったのだ。
父の魂を起こしに行ったのだ。”と。
私は祖母に何も言えなかった。
眠っていた夢の中の私は、祖母に何も言えなかった。
だから、ねぇおばあちゃん。
今度夢に出てきたときは、私、ちゃんと起きているから。
今よりもっと成長して、立派になってみせるから。
だから、ねぇおばあちゃん。
今度はちゃんと言うから聞いていて。
『ありがとう、おばあちゃん』
夢を見た。
とても優しい夢だった。