山田の情報-2
悠子が、
『何時から始まるの?』
と聞く。山田が、
『10時位だそうです。人気女性アイドルのミニライブやビンゴ大会、カラオケ大会に地区のミスコンテストや色々有って結構盛り上がるそうです。』
と言うと悠子は緒方と顔を見合わせて頷く悠子が、
『アパートの住人はどれ位参加するのかしら?』
と言うと山田が、
『その祭りの実行委員長があのアパートの管理会社の社長で、あのアパートを含め地区に有る管理会社管轄のアパート、マンションの住人は祭りに参加すると豪華お弁当が出るそうです。』
『その為、結構な割合でアパートの住人は参加するらしいです。管理会社はお弁当発注の為、住人達に出欠を取るそうです。』
と言うと悠子は、
『その出欠表、手に入れて!』
と言う。山田が、
『出欠表のコピーを貰って来ました。』
と報告する。緒方が、
『お前にしては嫌に手廻しが良いな。』
『それに何で言いづらそうにしてるんだ?』
と聞く。悠子がピンと来て、
『もしかして、櫻井さんに聞いたの?』
と聞く。山田が気まずそうに頷き、
『僕の手柄にしろと教えてくれました。』
『ですが僕は正直者なので、良心の呵責が。』
と言っている。緒方が、
『お前がまたペラペラ捜査状況を喋ったんだろ。』
『それは良心の呵責じゃなく、お喋りの反省じゃ無いのか!』
と言うとみんな笑う。山田は困った顔をしている。悠子も笑いながら、
『出欠表見せて。』
と言い、山田が出した出欠表をみんなで見る。二棟合わせて欠席は、櫻井にアジトの男、大学生の2人の合計4名だけだ。
理由も書いて有り、アジトの男は仕事の為、櫻井は友人が訪ねてくる為、大学生は1人が旅行中、もう1人がデートの為とある。
悠子は、
『この大学生2人が本当に当日アパートにいないのか、確認して!』
と言うと緒方が頷き、
『この後すぐに確認します。』
と返答する。悠子は頷き、
『アパートの住人が祭りに確かに参加しているか分からないかしら?』
と言うと山田が、
『お弁当の受け取りを会場でする際にチェックするそうです。』
『お弁当の受け取り時間は11時からだそうです。』
と言う。悠子は頷き、
『逮捕はアパートの敷地内にしましょう!』
『祭り会場に所轄の警察に人を出して貰い、会場を出る人がいたら何処のアパート、マンションか尋ねて貰い、あのアパートの場合は足止めして貰おう。』
と言うと全員頷く。悠子は早速課長に報告する、課長は悠子の提案認めてくれた。緒方から連絡が有り、大学生は2人共当日アパートにはいないとの事だった。
アジトの会合の前日、逮捕任務に向け責任者による会議が開かれた。悠子が逮捕任務の詳細を説明する。質問が二、三有ったものの異議は出ず。
最後に悠子が、
『現場は確認されたと思いますが、我々も相手を発見し易いが相手も同じです。慎重な行動をお願いしたい。』
『既に聞き及んでいるかと思いますが、詐欺組織は銃器で武装しており暴力団とのイザコザで気が立っています。防弾チョッキの着用と拳銃の携帯は必須でお願いします。』
『当日は、よろしくお願いします。』
と言い会議を締めくくる。隣に座っていた課長が悠子を見上げ、
『篠山君、結果を出してくれ。』
と言い立ち上がる。悠子は、
『はい、必ず。』
と言い、お辞儀をして課長の退室を見送る。課長が見えなくなると息を、
『ふぅー。』
と小さく吐く。その時、
『篠山主任。』
と声を掛けてくる人物がいた。悠子は笑顔を見せ、
『山川主任、お疲れ様です。』
『今回の応援、ありがとうございます。』
と悠子と同世代の男性捜査官に挨拶する。山川は夫の部下で、夫が主任の時から特別に目を掛け指導して来た捜査官だ。
射撃も優秀で、夫が熱心に教えてきた賜物だ。山川はキャリアでは無くノンキャリアだが、夫によれば課長も目指せる逸材だと言う。山川は、
『ご苦労様です。』
と笑顔で挨拶を返し、
『今回の応援、精一杯やらさせて頂きますよ。』
と言ってくれる。悠子は、
『よろしくお願いします。』
と返答する。山川と明日の事を少し打ち合わせしながら、
【もしかしたら、応援が夫の捜査課だったのは課長の配慮かも。】
【少しでも私がやり易い様にしてくれたかも知れないわ。】
と思った。