目醒め-6
※
「はっ…ぁ…ん…」
出来心…と言うにはやり過ぎな感が否めない。
見られている可能性と見られていない可能性を天秤にかければ、誰でも見られている可能性が重く乗しかかり片寄るだろう。
そもそも見られている可能性がある以上、見られていない可能性を考える必要が無いし、それを両天秤で計る必要も無いのだ。そして見られているならすぐにでも部屋から逃げ出すのが正解。
────なのだけど……
そう、これは違う。試しているだけ。本当に居るかどうかの、確認。
私は自慰行為を続けていた。ブラウスのボタンはお臍まで外して、インナーシャツを捲り、黒のブラジャーを晒している。
きっと見てるなら、何か反応があるはずだから…。そう、これで確認してるだけだから。反応があったらやめればいい。
「ンッ…はぁ…んっ」
ゾクゾクが止まらない。見られてるかもしれないと、見られてないかもしれないという両方が存在している。見られているかもしれないというのは本来ならば恐怖だ。でも、私は見られていることを考えるだけで体に熱を帯び始める。
何故…興奮しているのだろう。いけないことだと分かっていても、危険なことだと解っていても、自分が判らなくなっている。
片脚をパソコンデスクの上に放り投げて脚が少し開くと、スカートは上げた脚の太腿からずり上がる形で……結果、私の陰部が晒された。
やばい。やばい。やばい。絶対見える。これは絶対に見えちゃう。
「〜〜っ」
下唇を噛み必死に声を抑える。
…どうしちゃったんだろう。まるでスイッチが入ったみたいに私の性欲が暴走している。濡れた秘部が淫靡な水音を立てる。わざと音を立てて、注目を集めるように。
きっと、見られてる。私のはしたない姿を、いやらしい目で見てるんだ。
「はっ…はっ…」
上から覗き込んで、男は私と同じように下半身を晒している。隣の部屋できっとおちんちんを出してシコシコしている。私の中に挿れる妄想をしながら、そそり勃ったものを懸命に扱いている。
頭の中でどんな風に私を犯しているの?ねえ…。
「あっ、だ…め…」
ブラジャーに手をかけてカップを下へずらす。ブラはGカップで、巨乳と呼ばれる類のバストを私は披露した。
乳首がピンと立ち、見られているという興奮がより高まっていく。乳首を摘まんで陰核を擦る。電気が走ったような刺激を受けて腰が勝手に跳ねる。
知らなかった境地へと足を踏み込んだ。戻るにも切っ掛けを無くしている。乳首を弄っていた指を口に運んで舐める。ペニスを口に含むようにそれを口で愛撫する。
上で覗いてる男は私をどう見てる?私のおっぱいも大事なところも全部見て…貴方は………。
見る気は無かった。
確認するつもりは本当に無かった。
でも、想像しながら私はつい、上を見てしまったのだ。
妄想ではない。現実世界のそこに男は存在していた。
年の頃は四十代後半くらいか。口の端が上がり、食い入るように私を観察していた。しっかりと目と目が合い、時が一瞬止まる。
「お姉ちゃん、溜まってんのか?手伝おうか?」
何故か私は──────その男に微笑みかけた。