女らしく【07】『温泉と湯煙と油揚げ』-3
さっきのことを相談しようと思ったのに…
けど…大和の浴衣姿もいいなぁ…
何かこう…爽やかな感じで……
ガチャッ!
ノブが急に回転し、来訪者を迎え入れる。
「ど、どうした大和!わ、忘れ物か?」
いきなり大和が帰ってきた。
ちょっとポ〜っとしていたのでかなり焦った!
「…話があるんだ……」
真剣な顔つき。さっきまでの緩んだ表情が嘘みたいだ。
けど…何処か悲しそうな雰囲気だ…
「き、急にどうしたんだ!そんな顔して!」
「…俺のことどう思ってる?」
…どういうことだ!?
「俺のこと愛してるか?」
!!!…いいいいいきなり…ど、どうしたんだよ大和!
ガバッ!!
「きゃっ…」
大和がいきなり、押し倒してきた!
突然のことで何の抵抗も出来ずに手を押さえ込まれる。
「お、おい…大和…冗談もいい加減に…」
「…俺はお前が好きなんだ…ずっと昔から愛してたんだ……」
えぇっ!!!
頭はオーバーヒート…
何がなんだか…考えようとしても何も出てこない……
シュウシュウと頭から湯気が立ち上ぼる…
大和…オレも…オレも……
「や、大和…オレも大和が好きだよ…」
場の雰囲気にしっかり飲まれ、つい想いが口から零れる。
「……」
近付く大和…
吐息と吐息が触れ合うくらいの距離。
ああ…本当にこんなことになるなんて…夢みたいだ……
ガチャッ!
夢は突然破られた。
「悪い、財布忘れ…ちまって……」
入ってきたのは………大和!!
じゃあ…この大和は一体……
「誰だお前っ!!!」
大和が宵闇に手を掛ける。
その途端、偽大和は身を翻し、窓から闇へと消えていった。