女らしく【07】『温泉と湯煙と油揚げ』-2
でも、大和と朝までラブラブで二人っきり♪
だったらいいなぁ……
「こちらが、お部屋になります」
案内されたのは落ち着いた雰囲気を持つ一部屋…
のみ!!
…マジで相部屋になるなんて……
想像ならまだしも、実際はどうしたら!?
「マコト…どうする?」
大和も一応心配してるようだ。
どうしよ…
でも、こんなチャンス二度と無いかも……
「大和がいいなら…でも、二人一緒の方が経費も浮くし…」
何とな〜く、それらしい理由をつけてみたけど…
言い訳がましかったか…
「まあ…仕切りを立てればいいか」
やった!
大和と二人っきりで旅行♪しかも相部屋♪
もしかしたら…♪
「じゃあ、ごゆっくり」
夕食後、湯船の中…
暖かい湯はじわりと身体の芯まで染み入る。それと同時に幸せもに自らの身体に入ってくるようだった。
「さいこぅ……♪」
思わず顔もふにゃっと歪む…
辺鄙な所だと思ったけど、料理はおいしかったし、風呂もデカいし、それに大和と相部屋だし♪
…本当に怪奇現象なんて起こるのか?
ゾクッ…
不意に外の林から冷たく、研ぎ澄まされた刃に似た視線が突き刺さった。
「誰だ!?」
反射的に身構える。
しかし、夜は観察者を覆い隠している。
気配を探るが、姿を捕らえることが出来ない…
「………」
言い知れぬ不安。鳥獣の声どころか虫の音、木々のざわつきさえ凍り付いている。
とにかく上がるか…
「ただいま」
部屋では大和が浴衣姿でテレビを見ながらくつろいでいた。
こうしてみると本当に新婚旅行に来たみたいだ…
布団は二枚だけどな…
「おかえり、マコト。風呂はどうだった?」
気持ち良かったぞ。浴槽もかなりデカかった♪
「そうか。ちょっとオレ飲み物買ってくるよ」
そういうと部屋を出ていく。