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小松原常務の道楽4(最終章)
【OL/お姉さん 官能小説】

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退職、そして真紀子の死-1

真紀子は退職願を出した。
一身上の都合という体での退職願であった。

タイムカードが20日締めなので、20日付で退職なのだが、有給消化という名目で、15日が出勤最終日となった。

15日に交代する秘書がやって来た。
部屋に来たのは、以前もここで4日間働いた、井尻優子だった。

一度、経験があるので、ということで選ばれたのだろう。

真紀子は、16日から、グアム旅行に行く。

小松原も、
『行っておいで。』
と、言ってくれた。

『グアムで女子会だね。』
と、はりきっていた真奈美は有給を取った。

美紗は、リベンジポルノの件もあって、すでに退職していたが、家にも居づらいので、日本からの逃避行みたいなものである。

『20日に帰国するので、それから引っ越しとか、婚姻届けの提出とか、やらなければならないことがたくさんありますね。』
と、真紀子が嬉しそうに言っている。

15日、真紀子はひっそりと会社を去った。

翌、16日、グアム航空で、女性3人がグアムに飛び立った。
きっと、グアムで女子会三昧になるのだろう。
ただ、機内でも、真紀子の頭の中は、小松原との新しい生活でいっぱいだった。

そして、帰国した20日からは、小松原との人生がスタートする。

さすがに、小松原のことを常務と呼ぶわけにはいかない。
何て呼べばいいんだろう。

『伸也さん』
かな、、それとも、
『あなた』
そう考えながら、勝手に1人で赤面していた。

真紀子が去った16日からは、秘書の優子が小松原の秘書として、業務に就く。
特に問題もなく、時間が過ぎる。

17日、グアムで3人で楽しそうに食事をしている写真が送られてきた。

18日は、シャツの写真が、3枚送られてきた。
『お土産に買っていこうと思いますが、今送った3枚だったら、どれがいいですか?』

19日は、ホテルのプールサイドのチェアーに座って、ジュースを飲んでいる写真が送られてきた。
真紀子は、存分に楽しんでいるようである。

そして、
『明日、帰国します。早く会いたいです。』
と、メールに書かれていた。

真紀子が帰国する20日の朝、小松原は起きて、洗顔を済ませ、出勤の準備をしていた。
Yシャツを着て、ネクタイを締めている時、テレビに臨時ニュースが飛び込んで来た。

『臨時ニュースです。グアム発成田行きのグアム航空224便が、レーダーから消え、行方不明になっているとのことです。』

小松原の手が止まった。

行方不明になっているのは、真紀子が乗った飛行機だ。

レーダーから消える、、それは、ほぼ間違いなく墜落を意味する。
しかも、グアムから成田といえば、ずっと洋上である。

小松原は、ソファに崩れ落ちた。
心臓の鼓動が、早くなるのを感じた。

何をどうしたらいいのか、何も頭が働かない。

秘書の優子に、体調が悪いので、今日から3日間休む、と連絡を入れる。

小松原は、脳の動きが止まってしまったような感覚に襲われた。
何も考えられないのである。

静かに時間が過ぎ、夕方になった。
何かを食べようと思って、食べ物を口に入れるが、吐いてしまう。

食べないと体力・気力が持たないと思うので、無理に何かを口に入れるのだが、すべて嘔吐してしまう。

最後には、冷蔵庫にあるマヨネーズを口に入れるのだが、それでも吐いてしまう。

夜になって、テレビで搭乗者名簿が発表された。
緒方美紗、竹生真奈美と知った名前の後に、真紀子の名前も出てくる。

真紀子の名前を見た瞬間、もう何も出ない筈なのに、また嘔吐感が出て、トイレに急ぐ。

どれぐらい寝たか分からない。
ぼんやりしている間に、外が明るくなっている。

明日までは休みにしてある。

ソファで横になったまま動けない。

真紀子と過ごした日々が、走馬燈のように頭の中をかすめていく。

恥ずかしそうに顔を赤くする真紀子、嬉しそうに顔をほころばせる真紀子、すべてが幻のようである。

本来だと、今日あたり真紀子の母親に挨拶に行く筈だった。
真紀子のマンションの部屋の処分もしないといけない。

やらなければいけないことが多すぎる。

しかし、小松原は動けない。
生きた屍のようになっている。

そして、本来なら出勤する筈の4日目、小松原はソファの上で、ピクリとも動かない。

会社の小松原の部屋には、秘書の優子が、今までの会社の制服ではなく、自前で用意したスーツで、業務にあたっていた。

小松原がいつ部屋に来ても、すぐにお茶を用意できるように、お湯を沸かしていた。

優子がスーツのジャケットを脱ぐと、その下は、ブラジャーが綺麗に透けている白いブラウスだった。


<完>


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