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七日目のプール
【青春 恋愛小説】

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青と赤-3

それから裕也は黙ってしまったから、あたしももう何も言わず、ただ海を見ていた。





周りの家族連れがパラソルやシートを片付けている。終わりの時間が近づいてきた。

「そろそろ帰る?」

こんがり焼けた早苗の言葉に、泳ぎすぎてくたくたといった表情でみんなが頷いた。



「美音」

帰り支度をする中でふいに裕也に呼び掛けられる。久しぶりに名前を呼ばれて心臓が跳ねた。


「絆創膏持ってない?」
「…持ってないけど…どうかしたの?」

少しの間、ほんの2、3秒の間が開いた。


「…さっき足の裏ガラスで切った」
「嘘…!大丈夫?」

傷口を見ようとすると、足をふい、とよけられてしまった。


「悪いけど傷口洗いたいから肩貸してくれない?片足だと転びそうだからさ。他の奴ら片付けしてるし」

水道の所へは結構距離がある。ましてや怪我しているなら拒否するわけにもいかず、あたしは頷いた。



肩を貸して歩く途中、あたし達は一言も喋らなかった。話題なんていくらでもありふれているけど、今のあたしと裕也の溝を埋めることなんてできないから。



駐車場近くの水道に着いた。

それなのに裕也はあたしの肩を掴んだままで、離そうとしない。



「裕也…?」

何も話そうとしない裕也を見上げ、声を掛けた。なんだか裕也の雰囲気がいつもと違うような気がする。


「美音」
「何……」


海の風で髪がそよいで、揺れる。唇には温かい感触。呼吸が奪われて苦しくなる。


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