日常と非日常-7
腰が痙攣してきた。
クリトリスばかりを責めてきて、耳の穴まで舌を入れてくる。
嫌だった。不快感しかなかった。でも性的な刺激をずっと刻まれ続けていくうちに、私の身体は私の気持ちを押さえ付けるように、どんどん男の与える刺激を受け入れ始めていった。
胸も優しく揉まれ、乳首まで軽く摘まれる。
一度に色々な所を責められて、私は今何をどうされているのかも分からなくなるほど混乱していた。
気付くと痴漢は自らのモノを出していて、私の手を取るとそれ自体を握らせた。
熱くて硬いそれが男性器であることはすぐに理解できた。それを離そうと思えばできたはずなのに、私は何故か握ったまま動けずにいた。
熱い…硬くて、太くて…脈打っている。
私はそれを見る事が出来ない。位置的にそれを目で見ることは叶わない。だけど温度が触覚が私にそれを理解させる。
女の私の小さな手の中で、別の生き物のようにびくびくと蠢いている。
「あ…」
私に握られたからか男の興奮は増していった。
動けずにいる私の手の中で男が腰を前後させて摩擦を繰り返す。より速く、より大きく、より硬く…。痴漢の鼻息はもっと荒くなっていき、私の首筋に何度も吸い付き、乳房を掴み、膣内へ指を入れてくる。
「ぁっ…待っ………」
少し痛みを感じるほど強く胸を掴まれる。でもその痛みも熱に変わって、私は徐々に痴漢のペースへと嵌っていく。
「ぁっ、ぁっ…やめ…………」
ふと、給湯室での情事を思い出した。そう、あの花蓮と田口係長の情事。
仕事中なのに不謹慎なことをしでかして、あんな所であんな──────
『そんなこと言って、本当は興奮しているんだろう?花蓮』
興奮なんかしてない!私はそんなふしだらな女じゃない!
『ほら、私のもこんなに硬くなってるだろう?花蓮のおまんこも涎を垂らして欲しがってるじゃなあか』
欲しがってない!そんな汚いものなんて…!
──────私は──────
私は痴漢されながら花蓮となっていて、痴漢されているのに妄想に囚われていて…。
「ぁっ…あ、違う……の、…だめ…」
私は今、田口係長に給湯室でセクハラされている。抵抗しないと…。
「誰かに見られちゃう……んんっ」
係長のおちんちんが熱い。こんなに太く大きくなって。私の中に入りたがって…。
ストッキングとショーツが太腿までずらされると、手の中にあった係長のおちんちんが私の股の間に挟まる。そして愛液に塗れた股の間を行き来し始めた。それは私の秘裂にも摩擦されて、擬似セックスの様相を呈した。
お尻に係長の腰が打ち付けられる。太腿でピストン運動をする男根を締め付ける。係長の空いた両の手は私の豊かな乳房を下から持ち上げるように揉みしだく。
「ぁっ、や…係長……」
係長は何度かのピストン運動の後、太腿の中で射精した。
「気持ち良かったよ、お嬢ちゃん」
痴漢のその声でハッとした。
私は妄想から現実に引き戻され、おまけに痴漢の精液を太腿にかけられていた。
「次は〜武蔵浦和〜」
車掌のアナウンスが響き、私は咄嗟に捲られたスカートを下ろして衣服を正した。
体が…熱くなってる。顔まで赤くなっているだろうと思う。背後に居た男は駅に到着するなり降車する人々に紛れて消えていった。
私は強い自己嫌悪と羞恥心に苛まれてただ両手で顔を覆った。