プロローグ-1
「んっ…は…」
夜のオフィスに木霊する甘い声。昼のオフィスとは違う静かな雰囲気の中、その一つの区画から場違いな物音と声が響き渡る。
「誰かが忘れ物を取りに来るかもしれない…それか警備員が巡回に来るかもしれないよ?」
暗がりの中男がそう囁いた。
「…どうしたの?誰かが来るかもしれないのに、何故こんなに溢してるのかな?…ひひ」
オフィスからは不自然な水音。一定のリズムで鳴り続けるその音の正体は、身体を拘束されデスクの上で脚を大きく広げている “オンナ” …櫻木リカ(さくらぎりか)だ。
ショーツは片膝まで脱がされ、露わになった局部の前には男の顔がある。じっとりと眺められ、羞恥の極みを感じて両手で隠したくなるが、その両手も両脚も器用に縛り上げられて抵抗すら許されない。
「誰かが来たら、リカは終わりだ。それなのにこんなに濡らして。…本当はさ、だ、誰かが来ることを望んでいるのかな?」
濡れきった秘部はするりと男の指の侵入を許している。わざとリカの耳に聞こえるように指の往復を繰り返す。
シャツは前ではだけていて、上へまくられたブラジャーのせいで胸も露出している。時折乳首に男の舌が這うことがまた、リカの興奮と感度を上げていく。
「物欲しそうな顔だね?もう我慢できない?」
見透かされている。リカは空いた穴に何かを埋めたくて仕方がない。ゴツゴツした男の指も良いけど、もっと太くて、硬くて、大きく逞しいモノで満たしてもらいたい。
男は蔑むような、どこか喜んでいるような眼を向ける。リカはそれも好きだ。ゾクゾクとしてしまう。
「ど、どうかお願いしま」
「シー…まだ喋っちゃ駄目」
言うと男はリカの頭を掴み、自身の下半身へと顔を向けさせる。リカの目線の先には男そのものを象徴する、凶暴で、凶悪で、凶器的でグロテスクなモノが天を向いていた。
幾つもの筋の様に血管が浮き出てる。見れば見るほど凶暴なそれはしかし、魅力的でもあった。男の凶暴性は怖さもある。その反面、野生的でもありそこに逞しさも感じてしまう。
自分がおかしいのだろうか。男に好き放題される事に興奮を覚えてしまう。仮面を脱げばただの変態なのかもしれない。
リカはそう思っている。でも抗えない。リカの雌としての本能がそれなのだと、いつからかそう思うようになった。
欲してしまうのは被虐的な環境。性的な虐めに濁々と流されていきたい。何もかも忘れて、男の肉に中を何度も何度もえぐられるほどに…。
「ほら、おねだりの時間だよ」
気付くともうリカの濡れそぼった秘裂の1cm先に、男のソレが近くに来ていた。
「あ…あぁ…」
だらしなく口が開く。涎が出ていることにリカ自身も気付いていない。
「どうしたの?おねだりしてもいいんだよ?リカのだらしなく開いたおまんこにこれをぶち込んで欲しいんだろ?」
屈辱的な言葉。しかしリカには屈伏する以外の選択肢は無い。
誰も頼んでない!と突っ撥ねることも出来ない。リカはこの男に自身のフェティシズムを完全に掌握されてしまっているのだから。
「欲しい…欲しいです。」
男が望むこと、望む言葉を自らが満たしていきたい。そうすることで自らも満たされていくという事に自分でも気付き始めている。
「何を、どこに欲しいんだ?」
どこかのAVで観たような台詞。男は “言わせたがり” が多い。恥ずかしい言葉を言わせて、恥ずかしがった女の顔を観て優越を感じるのか。それともその顔で興奮するのか。両方かもしれない。
いずれにしてもリカは男の要求に応えるより無い。
「お…おまんこに、おちんちんを…」
「ちんぽ、だろ?」
丁寧に言ったつもりなのに当てが外れる。男はより下衆な言葉、品性の欠片も無い言葉を言わせたいようだった。
「おまんこに、ちんぽください、お願いします」
言い切ったと同時に頭を撫でられた。「いい子だ」の褒め言葉を受け取った後、男の大きなそれは強く重たく、リカの奥深くまで侵入り込んできた。
「あっ…ああああああ!!」
反射的に背中が反り返る。膣内(なか)に挿入ったそれだけで、リカは軽い絶頂を迎えたのだ……。