『THE ENDLESS』外伝〜光羽編第三章-2
「行くぞ!鋭刃!」
それに俺と颯葉と鋭刃が続く。
それからはしばらく、周りの音が耳に入らなかった。
鋭刃が緑のオーラを纏い、手当たり次第に賊を斬り伏せていく。すると、賊の中でも覚醒できる奴が集まり、他は鋭刃から距離をとった。
「くっもう駄目か…退けっ鋭刃!!」
鋭刃は直ぐ様身を翻し、こっちへ走って来た。これはなかなかの反応だ。しかし…
「駄目だ!追ってくる!」
「くそ!こうなったら奥の手だ!」
俺は鋭刃目がけ爆薬を投げつけた。咄嗟に横に避ける鋭刃。となると、爆薬が向かう先は…
ドオォォォン…
賊は突然現れた爆薬に反応しきれず、全員戦闘不能になった。
「俺を殺す気っスかマスター!!!?」
「俺が爆薬を投げると分かっていたんだろ?だから避けられたんだろ?」
「……俺は多分一生マスターに敵わないっスね…」
俺は賊に止めを刺し、瞑睡した鋭刃を担ぎ戦線を離脱した。
そしてすぐ後ろに控えていた蓬莱と共に、また戦いの場に飛び込んだ。
「蓬莱!回復はいいのか?」
「当分はっ!…必要ないかとっ!」
蓬莱はさっきから敵を薙ぎ倒しているが、まだ一撃も食らっていない。ここは…
「俺は味方の回復をして回る。くれぐれも不覚を取るな」
「勿論それは分かっております!」
俺は味方の回復をして回った。そこで初めて、この戦いがうまく進んでいる事に気付いた。
「おお!もう動ける!」
「頑張って下さい」
感謝されまくる。これは非常に気持ちがいい。
矢張り俺はこの仕事の方が戦いに貢献できる。
「もう勝ちだな…」
恐らく大勢が逃げを決め込んだのだろう。
今味方の槍が最後の一人を貫き、賊の討伐は完了した。
「マスター!後方から新手が!」
見ると、ミリアが必死で爆破魔法を放っているが、敵はもうすぐそこまで迫っていた。
「敵はまだ来る!誰か援軍を要請しろ!」
誰かが指示を出している。俺はそこに向かい、そいつにこう言った。
「援軍の必要は無い。見た所敵は少数。今遠距離攻撃の集中放火を浴びせれば、敵の士気は急落し、運が良ければそのまま追い返す事もできるかも知れない」
「……確かにその通りだが…俺に偉そうな口を利くな」
そう言い、そいつは周囲に命令を下した。ほどなくして遠距離攻撃可能者が準備を終える。
「放てえぇぇぇぇ!!」
賊軍に向かい一斉に矢や銃弾や魔法が飛ぶ。しかし、まだ進軍は続く。
「くそ!もう一度だ!他は下がって白兵戦に備えろ!」
どうやらシールドを張るらしく、敵はなかなか退かない。奴らはこちらがもたつく間に遠距離部隊を突き崩した。