女たちの暴走 潤一の奴隷-1
潤一は一度部屋から姿を消した。
「ねえ、麗子。」
「なに?」
「潤一君、困ってない?」
「あら。若い男の子を困らせるのって、結構快感よ。
あ、そっか。香澄にはさすがに経験ないか。」
「ええ。さっきの敏明君とのセックスは敏明君がリードしてくれたもの。
でも、それとこれとはずいぶん雰囲気が違うでしょ?
わたしがリードするとなると、さすがにどうしていいものかわからないわ。」
「だったらなおさらのこと、香澄が指示を出してあげて。
潤一君相手に試してみるのもいいじゃない。
潤一君だったらそういう扱われ方にも慣れているし、
本質的に優しいから乱暴なことはしたりしないから。」
「試しに、ってこと?そんなのって潤一君に失礼じゃない?」
「失礼だなんてとんでもないです。
香澄さんに命令されるなんて、ボクの方がかえって恐縮しちゃいますよ。」
いつ、戻って来たのか、潤一がベッドの横に立っていた。
「いいのよ潤一君。ちょっとこっちに来て。」
麗子は潤一を手招きすると、その耳元で何やら囁いた。
「あら、麗子。早速内緒話?」
「あら、香澄。やっぱり気になる?」
「ええ。麗子のことだから、また何かしら企みがあるんだってことだけはわかるわ。」
「あら、人聞きが悪い。緊張して戸惑っている潤一君にアドバイスをしただけよ。」
「どうせわたしが困る様なことを言ったんでしょ?」
「あら、香澄ってホントに勘がいいわね。」
「短い付き合いだけどね。麗子の考えそうなことは想像がつくようになったわ。」
「じゃあ、潤一君にどんなことを言ったと思うの?」
「そうね。香澄の指示にはいちいち逆らって、香澄を困らせるのよ、
くらいなことかしら。」
「へ〜。ねえ、香澄。あなたが考えるわたしって、ずいぶんと意地悪な女みたいね。」
「そう?でも、意地悪っていうのは、必ずしも嫌な奴と言うことじゃないわ。」
「どういうこと?」
香澄は麗子の質問を無視するように振り向くと、潤一に声をかけた。
「さあ、どういうことかしら。ねえ、潤一君。そろそろ始めるから。
麗子。わたしに任せるんだったら、あなたも質問や口出しは無しよ。潤一君……。」
香澄は潤一を呼びつけると耳元で何か指示を出した。
潤一は黙ってうなずくと、麗子の背後に回り、両手を後ろ手に組ませ、手枷をはめた。
「ちょ、ちょっと。何をするのよ。」
「香澄さんの指示です。あまりうるさいと、
口にも口枷をはめるように言われてますけど。」
「潤一君。いくら香澄に指示だからって、わたしはこんなことは望んでないわ。
外してちょうだい。」
「ですから、あまりうるさいと、口にもこれをはめますよ。」
「潤一君。そんなことしたら紗理奈とはもう会わせないからね。」
「麗子。紗理奈さんだってもう子どもじゃないわ。
誰と会おうが、誰と寝ようが、口出ししたところで聞くと思うの?」
「香澄。あなた、なにをしようとしているの?」
「深く考え過ぎよ、麗子。わたし、そんな先のことまでかんがえていないわ。
今は潤一君に何をしてもらうのが一番楽しいか、
麗子と二人で楽しめるか、それしか考えてないわ。」
「でも、今、紗理奈のことを……。」
「それだって何となくそう思っただけのこと。
誰も誰かを束縛したり強制したりできないんだとは思うけど。
でも、プレイは別よ。
束縛されたり強制されたり、拘束されたり放置されたり。
普段は受け入れられないようなことの方が刺激的でゾクゾクするわ。」
「それは確かにそうだけど……。
じゃあ、別に深い意味があるっていうわけじゃないのね?」
「いやだわ、麗子ったら少し前のわたしみたい。
一つ一つのことに疑心暗鬼になって、自信を失ってる。」
「そ、そうかしら。
でも、香澄から見てそう見えるんだったらそうなのかもしれない。」
「どうしたの?自信を無くすような場面があったようには思えなかったけど……。
あ、もしかして、征爾さん?」
「う〜ん。そうなのかしら、やっぱり。」
「でも、それだったらわたしも同じかもしれないわ。」
「香澄も?」
「そりゃあ、自分の夫が、自分の目の前で、
自分以外の女のオマ〇コがいいとか、相性がピッタリだとか、最高だとか、
そんなことばかり言っているのを聞いていたら、自信も無くなるわ。
でも、それはあっちも同じだと思うの。」
「夫のほうも、ってこと?」
「そりゃあそうよ。
長年連れ添ってきたパートナに、目の前で、
セックスの相性がピッタリの相手が見つかった、って宣言されたんだもの。
でも、それってお互い様でしょ?
でもわたしは、そんなことで自分が否定されたとは思っていないわ。
確かに、麗子は征爾さんよりもうちの人との相性がピッタリで、
わたしはうちの人よりも征爾さんの方が相性がピッタリで、
で、不思議なことに征爾さんも雅和も同じ思いだわ。
でも、それはあくまでも肉体的なことでしょ?
究極の快楽を求めるためのセックスと、
互いの愛情を確かめたり慰めたりするセックスと、
最適のパートナーがそれぞれ別にいたとしても不思議じゃないわ。
と言うよりも、むしろその方が自然じゃないのかしら。」
「その方が自然?」
「ええ。相性って言うからいけないのよ。適材適所。」
「快楽にはそれを求めるのにふさわしい相手がいて、
安心を求めるにはそれなりの相手がいるっていうこと?」
「ええ。お互いにそれを刺激にして、あえて口にしているんだもの。
自信を無くすより対抗意識を燃やした方がいいかなって思ってるの。」
「なるほどね。お互いに敢えて言っているってことね……。」
「でも、そのおかげで燃えたわ。ううん。まだまだ燃え足りないくらい。」
「香澄、貪欲過ぎて怖いくらいだわ。」