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らぶすとぅりぃ*出会い
【コメディ 恋愛小説】

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らぶすとぅりぃ*出会い-2

では何故栞は一週間で元通りになったのか。
その真相は、本当は骨折などしておらず、怪我をしたのは顔面だったのだ。
自転車と衝突した栞は、見事なほどに顔面で受け身をとってしまった。
もちろん顔面は血だらけ。顔面骨折しなかったのが不思議なくらいの出血量だったと、加害者の少年Aは語る。

「あー…。行くのイヤだなぁ。」
尚も校門前で中に入ることを躊躇い続ける栞。
全てが元通りになったように見えたが、やはり顔面受け身の傷だって一週間そこらで完璧に治るはずはない。
まだ栞の顔は湿布と絆創膏で埋め尽くされていて、元の顔の面影もあまりないに等しい。
「こんな顔じゃ行きたくないっつぅの…。」
はぁ、とため息を吐いて首もとから頭にかけてをわしゃわしゃと掻き毟った。
そして、もう一度改めて学校を眺める。
「…しゃあない。顔がもう少し治ってから行くことにするかぁ。」
湿布と絆創膏の下に笑顔を見せ、栞は足軽やかに颯爽と立ち去っていった。

二人の出会いは、また先延ばしになったのだった…。



それから更に三週間後。

校門の前には、またもや栞の姿が。
しかし今回は顔も元通りになり、不自然なところはなくなった。
「…なんだかんだ、一ヶ月くらい休んじゃったなぁ。」
学校を見つめてボソリと呟く栞。
「それじゃあ行きますか。」
入学式から約一ヶ月。
栞はやっとこさ高校に初登校した。



がらっ。
スライド式の戸を開け、クラスに入る。
全員の視線が全て栞に突き刺さった。
初めて見るクラスメイトに、皆栞を凝視してしまう。
「…━栞ぃ?!」
突き刺さる視線が痛い中、不意に栞を呼ぶ綺麗な声が聞こえた。
栞は反射的に声のした方に目を向けた。
「鷲見ぃ?!久しぶりじゃあん!同じクラスだったんだ!」
痛い視線に歪んでいた栞の顔が一気にほころんだ。
声の主は橋本鷲見。中学からの栞の友達であり、スポーツ推薦でこの学校に入学したのだ。
ちなみに、そのスポーツとは合気道である。
「まっさか栞と高校まで一緒になるとは思わなかったわ。」
鷲見が馬鹿にしたような笑みを浮かべながら、栞の頭を二・三度叩いた。
「…あれ?」
栞の頭を叩いた鷲見が微かな違和感を感じて、栞の頭をのぞき込んだ。
「…カチューシャ?」
よく見ると、ベリーショートの黒髪の中に埋もれるように同系色のカチューシャがキラリと光った。
「そう☆可愛いっしょ?」
「えっ、うん…可愛い可愛い!」
嘘も方便という言葉は、まさに女の友情のために存在すると言っても過言ではない気がする。
…少し言い過ぎな気もする。


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