ある復員兵の夏-7
「んっ、んんっ、あっ、ああぁっ!」
ひと鳴きするたびに羞恥心や罪悪感を放り出しているかのように、圭子の嬌声はだんだんと大きくなる。
「ほら、いいだろ? 俺のこいつは」
男は圭子の背中に覆いかぶさると、乳房をまさぐりながら耳元へ顔を寄せた。
「んっ、んっ……あぁっ……」
「何とか言えよ、ほら」
圭子の心根を見透かすようにせっつくと、深く長めのひと突きをする。
「は、はい……いい、です……」
圭子は床とにらめっこするような体勢から、苦しそうな声で答えた。
「死んじまった前の旦那よりも?」
「は、はい」
「聞こえねえ。もっと大きな声ではっきり言ってみろ。どうなんだ?」
「い、いいです! ま、前の夫より……正一さんより……いいですぅっ!」
「!」
それは正一にとって、あまりにも残酷な一言。
自分の知っている妻は、もうどこにもいない。その動かしがたい事実を正一は今、これ以上ない形ではっきりと思い知らされてしまった。
「ひっひ。そうだろうそうだろう、っと……そろそろ出すぞ!」
男は嫌らしい顔と声で笑うと、勢いづいたように圭子の白尻をめった突きにして、そのまま一気に射精へと持ち込んでみせる。
「そら……よっと!」
またしても、男の精が女体の奥にたっぷりぶちまけられると、
「ん、んんんーーーっ!」
圭子の身体も、それに呼応するように最高点での絶頂を迎えた。
「ふう、出た出た。まあ毎日たっぷり抱いてるし、身体つきを見ても多分もうできてるから、いくら出してもおんなじこったろうけどな」
「……!」
勝ち誇ったように言い放つ男とは対照的に、正一はこけた頬をひくひくとひきつらせる。
「と、さすがに時間がねーか。ま、続きは夜だな。今度は裸にひんむいてたっぷり可愛がってやるから、覚悟しておけ」
男はなおも硬さを失わない一物を苦しそうにズボンへしまうと、
「おう、ちゃんと片づけとけよ」
吐き捨てるようにそれだけ言い残し、あとは圭子を振り返ることもないままさっさと納屋を出ていってしまった。