ある復員兵の夏-6
「ひっひ」
男は下卑た笑い声をあげると、圭子の痴態を見下ろしながら舌なめずりをした。
「たまんねえな、その格好。こりゃあ、まだまだおさまりそうにねえや」
ゆらりと近づくと、圭子の腰を逆さに抱え上げ、満月のように丸く張った尻をぴしゃぴしゃ楽しげに叩いてみせる。
「ほら、手をつけ」
ひとしきり尻肉の叩き心地を楽しむと、男は両手で圭子の腰をつかみ直した。
「そらっ!」
挿入しやすい位置まで持ち上げた陰部に、再び猛った一物をずぶりと押し込む。
「へへ、気をやったばかりで敏感になってるだろ。今度はたっぷり突いて、もっと気持ちよくしてやるからな」
一方的に宣言すると、男はわざと卑猥な湿音を立てるように腰を動かし、ゆっくりと焦らすような出し入れを始めた。
「ん、んんっ、んっ……」
男の肉根に身体の中心を貫き通された圭子のくぐもった喘ぎが、納屋全体に響いた。
「へっ、それにしても戦争さまさまだな」
問わず語りに、男の口が開く。
「若い男がみんな死んで、俺みたいに徴兵逃れをした奴は残った女をよりどりみどりだ。ま、人間しぶとく生き抜いてりゃこんな風にいいこともあるってもんよ」
口元がひひ、と醜く歪んだ。
「たまにはアメ公に全部持ってかれることもあるが、敗戦国じゃそれも仕方ねえ。それでも、代わりに服だの食糧だのを横流しさせてるんだから立ち回りとしては悪くねえやな」
得意顔で喋るうちに、男の抽送はだんだんと早まり、勢いを増してくる。
「この洋服も、これから食うメシも、全部、全部この俺が手に入れてきたものなんだからな。ええっ、感謝っ、しろよっ、おい!」
「んっ! あっ! あぁんっ!」
男が言葉に合わせて激しく突くと、堪えるように閉じていた圭子の唇が大きく開いた。
結合部の動きがすっかり滑らかになっているのは、既に一度たっぷりと白濁を注ぎ込まれているからだけでは、おそらく、ない。
「け、圭子……圭子……」
正一は知らない男に抱かれ、喘ぎ声を押し殺すこともできなくなった妻の姿を、ただ呆然と見つめた。
圭子は今、隆男に、息子にこんな姿は見せたくないと思っていることだろう。もしかしたら自分に対しても、いくばくかの罪悪感を抱いてくれているかもしれない。
だがそれでも、女ざかりの熟れた身体は性の欲求に対し、あまりにも正直すぎた。
猛々しい男の一物に貫かれ、女の秘部を念入りにこね回されているうちに、普段は心の底に隠されている淫靡の性が、どうしようもなく解き放たれてしまっていた。