新たな依頼-1
連休明けの学院は全体が、ゆっくりと動いている感じかしたが、センターは新人事務員が
2名補充になり、仕事の引継ぎや顔合わせで、朝から忙しく動いていた。しかしベテランの
経理経験者で、課長の部下であった二人だ午後には、仕事を覚えて事務所は安定の動きを見せた
そんな午後、進路アドバイザーの事務長が、由美子の部屋にやって来た珍しいとは思ったが
話しを聞くために応接室に通した。数枚の用紙を出して言った。今、こちらの方からFAXが
届いたのですが、大学からの推薦者要望書と書かれた用紙と、募集内容が書かれている。
こちらの大学との取引は学院では無いですし、由美子副社長宛になっておりましたので、
お持ちしましたと言う。
由美子にも何の依頼も入っていないし、聞いたことのない話だった
「判りました、私の方で調べて見ます」
「まぁそれが事実なら学院生には良い話なのかもしれませんね」
事務長はそう言って部屋を後にした。
由美子は確認の為、内線で社長に内容を伝え、知っているかと聞くが全く知らないと言う。
受付の明美にも同じように、連絡が入っていないか確認するが、何もないと言う
由美子宛に届いたFAXだ相手は、由美子に送ってきたのだから何処からか話があるだろうと
連絡が来るのを待つ事にした。
1日〜2日と待っても何処からも連絡は来なかった、由美子は一応社長に相手方に連絡を取り
内容の確認を取るが、良いか確認した。これで話がダメになっても依頼者の連絡ミスだ
由美子が気にする事はないと言って頂き、FAX相手に電話連絡を入れて確認を取った
担当者不在で、折り返し連絡を貰う約束をしたが、その日は連絡が来なかった。
翌日早い時間に、理事の一人から依頼の電話が、由美子に入った。由美子は面識のない
理事からであったが、FAXを送っているのでその通りに頼むと言われた。
由美子は、ご相談に乗る事は出来兼ねると理事からの連絡を断ったのだ、理事は怒りだし
それなら副社長は解任だと言って電話を切られた。
由美子は、社長に状況を説明し、ご迷惑をおかけしましたと謝った。
社長は由美子らしいと、笑って聞いていたが、由美子は順番や手順を守らずに、いきなり
電話でFAXの通りに頼むで、依頼されても困ると本気で怒っていた。
社長は、コレで大騒ぎになると予感していた。当然理事の件で、理事会・PTA会・教職連の
幹部連中が由美子の説得に動いて、センターは大騒ぎになると思った。
社長は受付の明美と由美子を部屋に呼んだ。
これから由美子を訪ねて、学院の重鎮たちが、センターに押し寄せるだろう、アポナシでだ
「君はアポナシでは由美子に会えない」と言いなさい
「相手は社長に会わせて欲しいと」言うからそうしたら応接室に通しなさい
「ハイッ判りました」
由美子は、少しココに居ると話がややこしくなるから談話室へ行っていなさい
「申し訳ありません社長」
「何も由美子は悪くないんだッ謝る事はない」
以上だと言って元へ戻った。
明美は、由美子が怒った顔も素敵だと思った、しかし由美子さんの所にそんなに重鎮が
アポナシで来るものなのか?少し興味があった。
由美子は、その足で談話室に向かった、社長はルミと早智子に由美子の話し相手に談話室へ
行くように指示した。
それから30分程して、続々と黒塗りの高級車が、学院の駐車場に横付けされた。
センターの受付はアポナシの由美子への面会ばかりだった。
明美の想像を超える10人近い人間が、由美子を訪ねてやって来た全員社長の居る応接室へ
案内したが、お茶を出すのに生徒会の役員に手伝ってもらった。
由美子さんとは何という人間なんだと改めて明美は思った。
応接室では社長が、理事達の前で状況を説明した。
3日前に届いた知らない所からの由美子宛のFAX由美子は3日間依頼だと思い色々と調べ
待っていた事、行き違いがあれば困ると、私の許可を得て先方に連絡した事折り返しを貰う
約束をしたが、相手から連絡は来ずに、今日の朝早くに理事から連絡が来て、FAXの内容で
依頼を頼むと言われたと、由美子がお断りすると言ったら副社長は解任だと言われたと
今までの流れを説明した。
由美子は、簡単な依頼ばかりではないから、手順を踏んで依頼をして欲しいと思っていたが、
FAX1枚で出来る仕事なら私は必要ないと、怒って帰りました。
役員や理事の方のお願いで由美子はココで仕事している訳ですが、便利屋の様に由美子を
使うつもりなら私も、由美子にココの仕事はさせませんよ決まった依頼の仕方がある訳では
ないですが、最低限のルールは守って依頼してもらわないと、困りますと言った。
理事達からは何とか、戻るように説得して欲しいと依頼される社長だが、気の強い女ですからね
私で、説得できるか自信がありませんね、こういう話は、全て由美子が今まで完璧に
仕上げて来た案件なのは皆さんご存じですよね?
社長は少し嫌味を混ぜて言った、約束は出来ないが1週間は時間が欲しいと言ってお引き取り
願った。