新入社員歓迎会-1
加納貿易営業部
「斉藤さーん!
これコピーとって
主任に渡してくれる?」
「里奈ちゃん!
今度お茶でもしない?」
斉藤里奈(22)某有名女子大卒
小柄で童顔、愛嬌も良いので
男性社員から良く声がかかる
返事も良く、断れない性格のため
余分な仕事が貯まってしまうが
それでも嫌な顔一つもせず
オフィスライフを過ごしていた
「何か手伝おうか?」
すれ違いに声を掛けてきたのは
同期の幸田正樹だ(EP2参照)
女子社員達の冷ややかな
視線を集める
「うん!大丈夫...
幸田君は自分の仕事して」
里奈はそう言うと
デスクに戻り
黙々と仕事をこなす
正樹は里奈の気を引きたいが
社内では人の目もあるし
里奈もその事に
気がついているようだ
正樹:
(アイドルみたいに可愛いし、性格も良いどこかのお嬢様って噂もあるし...
何より、おっぱい大きいよな..
他の女子社員に嫉妬させても悪いしな、彼女もその辺、気を使っているんだろ)
自意識過剰の正樹は
里奈が自分に惚れていると
思い込み
里奈への思いを募らせる
午後一
課長の佐々木めぐみが
声を上げて鼓舞する
「今日は新入社員の歓迎会だから
午後からも頑張りましょう!」
オフィス内の全員が元気良く
返事をする
正樹:
(そうだ!今夜は歓迎会だ!
これはチャンスかも!?)
正樹は
里奈をチラチラ意識しながら
仕事をしていく
18:00
歓迎会会場の
某ホテルのロビーに
正樹は1時間早く到着した
里奈を待ち構えて
近くの席を確保するためだ
ホテルのエントランスが
見える所で里奈を待つ
次第に他の社員達が私服で
集まってくる
歓迎会20分前
ようやくエントランスに
淡いピンクの
オフショルダー花柄ワンピースに
白いボレロを羽織った
里奈が姿を見せると
正樹は里奈に駆け寄り
声を掛ける
正樹:
「可愛いワンピースだね!」
里奈:
「あら!?幸田君、ありがとう」
背の高い正樹が里奈を見下ろすと
胸の谷間が少し見える
正樹は生唾を飲み込む
(これは!?
彼女も勝負に来てるな!)
正樹:
「良かったら今日は
ご一緒させてもらえるかな?」
里奈:
「機会があったらね...」
里奈はニコッと笑い
そのままロビーを歩く
正樹は追いかけるように
ついて行く
その様子を
他の女子社員達が見ていた
程なくして
会場への案内が始まった
パーティー会場は
大部屋でビュッフェ形式だった
中央に料理と
周りに丸テーブルと椅子が
幾つか用意されている
本部長が全員を上座側へと促し
新入社員を激励し
乾杯へと進んだ
乾杯を終え
正樹は里奈を探し、辺りを見回す
しかし、それを封じるかのように
正樹の周りには
女子社員達が集まってくる
女子社員達:
「幸田君!
お料理取ってこようか?」
「幸田さん!お飲み物は
ビールが良い?」
「幸田君.........」
正樹:
「いや!?え!?あ!うん...」
里奈は正樹の事はお構いなしに
仲の良い女子社員と
料理を選んでいる
里奈を横目に
取り巻きの女子社員達は
正樹のグラスにビールを注ぐ
タイミングを常に見計らっている
女子社員達も
歓迎会の二時間が勝負と
正樹の側から離れない
会場の隅に目をやると
同僚の小山内陽太が独り
ポツンと立っているのが
目に入る
正樹は「ちょっとお手洗いに」
と言い残し
陽太のもとへ歩み寄る
正樹:「小山内!飲んでるか?」
陽太:「え!?いや!お酒は...」
正樹:
「ちょっと頼みがあんだけどさぁ
斉藤さんと話したいんだけど
他の女どもがさぁ...
一緒に飲んでてくれよ!
隙を見て抜け出すから」
正樹は陽太の返事を待たずに
トイレへと行った
正樹がトイレから戻ると
陽太の腕をつかみ
ビュッフェテーブルまで
連れていくと
すぐさま
女子社員達も集まって来た
女子社員達:
「幸田君!
次は水割りが良いかしら?」
正樹:「そうだね!
そろそろ炭酸きついかも」
「それから、コイツ小山内って
親友なんだけど
凄く良いヤツだから
一緒に飲もうよ!」
陽太:(え!?親友って
入社して初めて会ったのに...)
唖然とする陽太
女子社員達は
一瞬迷惑そうな顔をして
「小山内君も水割りでいい?」
その後も
女子社員達のアピール合戦が
繰り広げられる
残り時間も迫り
正樹は陽太を残して
里奈の元へ行く
里奈は先輩男性社員と
楽しそうにしている
先輩男性社員の
機嫌を損なわない様に話しかける
「お疲れ様です!」
男子社員:
「お前!凄く持ててたな〜
女には不自由しないだろ?」
正樹:
「いや!そんな事はないですよ」
そんなやり取りをしていると
本部長が
「宴もたけなわですが...歓迎会はここでお開きと致します!社長から、スカイラウンジは自由に使って良いと頂いてますので、支払いは気にぜす、ゆっくりして下さい!」
正樹:
(よし!里奈を二次会に誘おう)
そう思い里奈を探すが
姿は見えなかった
またしても、女子社員達が
正樹を取り囲むのであった。