女らしく【06】『姉と弟とオレ?』-5
「……いや…別に…ただ元気無いのは嫌だな……」
…良かった…オレにもチャンスはあるんだ…
「大和…」
「何…だ……」
大和は今にも寝てしまいそうだ。
「オレ…オレ……ずっとずっと…大和のことが……す」
「すぅ……」
好きって言おうと思ったのに…
大和は我慢出来ずに眠ってしまった…
「もう少しだったのに…」
それにしても気持ち良さそうに寝てるなぁ。
自然と手が大和の髪を撫でる。
サラサラと指先を流れる黒髪。
これは撫子さんに似てる。
大和に言ったら否定されそうだけど…
「んっ…」
髪に隠れた角に指先が触れるとくすぐったそうにする。またそれが堪らなく可愛い…
「大和…大好きだ」
顔が大和に近付いていく…
そして…
大和の額にオレの唇が触れる。
ただ触れるだけの子供っぽいキス。
でも、それだけで十分だ。
寝てる相手にするのは卑怯な気がするし、それに唇はちゃんと大和に想いを告げてそれが叶った時にしたかったから…
「マコトちゃんって結構大胆?」
「うわっ!」
いつの間にかベンチの裏からヒョコッと顔を出している撫子さんがいた。
「しぃー!もう少しそうしてたいなら静かに♪」
「もう乗ってきたんですか!?」
「コーラ持ったままじゃ乗っけてくれなかった。
後で見てろよ、この遊園地…あの手この手で営業妨害してくれる♪」
そりゃそうでしょ!
「それより…私は実家に帰るからね。後でソレと一緒にゆっくりと帰っておいで。
何なら、明日の朝でも構わないよ♪ちなみに、外に出て左に曲がるとそういう場所だから♪
後、大和をこれからもよろしくね♪」
そう言ってさっさと帰っていく。
撫子さんって、一言で表すならば…台風みたいな人だな。お礼も出来なかった…
とりあえず、もうすぐ閉園時間だから大和を起こさないと。
さて、どうやって起こすかな…そうだ♪
「大和…起きて…」
ふぅー。
耳にかかる暖かな吐息。