女らしく【05】『彼女とお淑やかと変貌』-1
夏休みに突入したばかりのある日…
駅へと続く道。
オレの前をキョロキョロした大和が歩いていく。
…気付いてないな。
今、オレは大和を尾行中。
理由は、最近大和の様子が変だったから。
何か上の空だし、カレンダーを見て溜息は吐くし、とにかく怪しいんだ!!
もしかしたら…か、彼女とか……
そんな不安に駆られ、ここ何回か、大和が出掛ける時は尾行をしている。
ストーカーじゃねえぞ!!ただ…大和が心配で……
でも、今のところ何にも無い。まあ、オレの思い違いかも…
ん?大和に誰か近付いている?
えっ!お、女……
一人の女性がにこやかに大和に近付いていく…
背は高過ぎず低過ぎず、丁度いいくらい。長めの黒髪はサラッとしていて、どことなくお淑やかそう……
や、大和に……彼女が……
思わず目の前が真っ暗になった。
目眩がした…
衝撃的だった…
鈍器で頭を殴られたみたいだ…
…………いや、まだ彼女と決まったわけじゃ…
ブンブンと頭を振り、最悪の事態を何とか消し去ろうとしたが…
ギュッ!
女が、大和の腕にくっついた!
ガーン…
あまりのショックを飾るのに相応しいのはこの擬音しかないらしい…
「…アハ…アハハハ……」
口から零れるのは、引きつった笑いのみ…
大和…ああいう女が好きだったのか……
そうだよな…オレなんか正反対だもんなぁ…相手にされるはずなかったんだよなぁ………
「帰ろ…アハハハ…」
フラフラと学園へと戻る…
大和に彼女が…大和に彼女が…