女らしく【05】『彼女とお淑やかと変貌』-6
「おい!マコト!」
「あっ…ごめん…」
夢心地からの帰還。
「何でこんなことしてるんだ?」
「…その前に…大和…朝会ってた人誰?」
大和は打って変わって青ざめる。
「見てたのか…」
「ごめん……覗くつもりじゃあなかったんだけど…あの人……大和の彼女?」
「ち、違うって…」
嘘……だって…だって…
「嘘だ…だって腕に抱きついてたもん……」
「…そんなことどうでもいいだろ!今は何でこんなことしてるんだよ!!」
いきなり口調が荒くなった…やっぱり…彼女なんだ…
「どうでもよくない!私にとってはどうでもよくない!!」
つられて私まで声を荒げてしまった。
「何だコレ?…そうか…博士か…」
床に転がる試験管を発見した大和が呟く…
「博士には、私が頼んだの!だから、博士は悪くない!!」
何とか話を聞いてもらおうと思ったのに…
「うるさい!とにかく博士を呼んでくる!」
大和は本気で怒って出て行こうとする…
血の気が引いていくのが分かる…
代わりに冷水が身体を流れているよう…
私…私…大和に…嫌われた……
大和…行かないで…嫌だよ…嫌いにならないで……行かないで…
「大和!行っちゃやだぁ!!!」
シュッ!!スパン!
突然、机の上のハサミが浮かび、大和に向かって一直線に飛ぶ!
「ま、マコト!?」
数cmのところで何とかハサミを躱した。
「いやぁ!」
しかし、次々にシャーペンや定規などが飛び上がる。
「やめろ!落ち着け!」
「いやぁ…」
大和が何か言ってるが、よく分からない…
「大和大丈夫ですの!」「大丈夫デスカ?」
扉の裏から奏と博士の声がする。