女らしく【05】『彼女とお淑やかと変貌』-3
「何それ…」
泣き過ぎて潰れかけの喉を精一杯震わして声を絞り出す…
「これは飲んだ相手を催眠状態にする薬!
名前は『MAD−44』!!
これでマコトを強制的に女の子にしてあげマース♪」
ドクロマークの試験管を高々と掲げる。
うさん臭い…
「大丈夫なんですの博士?」
「心配ご無用。副作用はアリマセン♪」
「マコト…信じないほうがいいですわ」
「マコト…あなたに残された道はコレだけデスヨ〜?このままじゃ大和を盗られてしまいマスヨ〜?いいんデスカ〜?」
大和を……盗られる…
そのまま…結婚とか……
さらにパートナー解消……
鐘の鳴る教会、純白のドレスを着て、手を取り合う大和と女…そして誓いの口づけ…
嫌だ!!そんなの嫌だ!!!
「…博士…オレを女らしくしてくれ」
こうなりゃ、一世一代の大決心だ!
「いいですの!!何されるか分かりませんのよ!」
いいんだ奏…大和が振り向いてくれるなら…
「ううっ…マコトさんなんて健気なんでしょう…」
ハンカチを取りだし目頭を押さえるミリィ。
奏は少しあ〜とか、う〜とか悩んでいたがすぐに結論を出した。
「…分かりましたわ。その代わり、ワタクシが見張りますわ。いいですわね、博士!」
同意じゃなく命令。
「まあ…いいデショウ。ではこの薬を飲んでクダサイ♪」
博士から手渡された薬を少し揺すってみる。
色は無色…
意を決し、ぐっと飲み干す。
無味無臭…逆にそれが怪しいんだが。
「どうデスカ?」
別に…何とも…アレ……何かボンヤリしてきた…
「成功デスヨ♪この薬は効く人とそうでない人がいますカラネ。いやぁマコトが効く人で良カッタ♪」
「人によって効果が変わるんですの?」
「Yes♪ちなみに奏は効かない人デシタ」
「なっ…!いつの間に…殺す!!」
「ストォォプ!その前にマコトデスヨ」
そう言って前に立つ。
「マコト…聞こえマスカ?」
「……はい」
抑揚のない声で答える。
「マコト…あなたは今、とても心地よいデスネ?」
「……はい」
再び抑揚のない声で答える。