女らしく【05】『彼女とお淑やかと変貌』-2
「おかえりなさいマコト。どうしたんですの?」
学園寮、部屋では奏が勉強をしている。
「アハハハ…」
もう、どうでもいいや…
冷蔵庫を開け、中からチューハイを取り出す。
この学園は生徒の自主性を重んじるため、結構アバウトなところが多々有る。要はバレなきゃ大丈夫…真似するなよ…
プシュッ!
軽快な音がして、プルタブが持ち上がる。
そして…
一気飲み!!
「ちょっとマコト!どうしたんですの!?珍しくお酒は飲むし、気味悪い笑顔ですわよ!?」
「…かなぁ……大和が…待ち合わせで…それで…黒髪のお淑やかで……腕にギュッって……ふええぇぇええん」
涙が…止まらねぇよぉ…ひぐっ…
「な、何泣いているんですの?
大和が黒髪のおしとやかで腕にギュッ??全く意味不明ですわ…
と、とりあえず博士も呼んで来ますわ!!」
奏はそう言って急いで飛び出していく…
「マコト…どうしマシタ?」
数分後、博士とミリィと詩乃が駆け付けて来た。晴樹は外出中らしい。
「ひぐっ…や、大和に彼女が…うぅ…ふええぇぇええん」
「つまり、大和に黒髪でお淑やかな彼女がいて、その人が大和の腕にギュッとくっついたってことですの?」
コクコク…
「あの野郎…お姉様を泣かせるなんてぇ!!やっぱり男はみんなそうなんです!!さあ、私と契りを…」
「詩乃はおとなしくしていなさい!…マコト…本当に彼女でしたの?」
「だって…大和の奴…姉妹がいるなんて言って無かったし…」
十年くらい一緒にいるんだから間違いない…
「分かりましたわ。じゃあマコト、あなたは大和のことを諦めるんですの?」
その一言が胸に重くのし掛かる。
「…諦めたくねぇよぉ…
…だけど、大和の好みがお淑やかな女性だったら…オレに勝ち目なんかねぇよぉ……」
そんなのオレにあるわけないよ…
「なら、お淑やかに女らしくすればいいんじゃありませんか?」
ミリィが告げる。
「今更無理だよ…オレだって昔は女らしくしようって努力したけど……ダメだったんだよぉ…ふええぇぇええん」
「かなり弱ってますわね…」
その時だった。
「ふふっ…マコト、いいものがあるのデスガ…如何デショウ?」
いいもの?
「これデース!!」
博士は白衣のポケットから試験管に入った液体を取り出した。
まるでド〇えもんの様に…