極秘事項-1
秘密事項
社長室の前で
一息ついて
ドアをノックする
以前の陽太と違って
堂々とした様子だ
「コンコンコン!」
三回ノックする
すると中から
めぐみの声で
「どうぞ、お入りなさい」
陽太:「失礼します!」
社長室の奥のデスクには
メガネをかけた
常磐恵理子(42)
手前のソファーセットには
左に専務の
黒田泰三(57)
右にめぐみが座っていた
三人とも
陽太を見ている
社長:
「この子が小山内君?」
めぐみ:
「はい 、そうです...」
専務:
「良いんじゃないですか?
真面目そうで...」
社長:
「あなた、A大出てるのよね?」
陽太:
「はっはい!」
社長:
「...いいわ!めぐみ!
あとは任せる!
専務すぐ行くわよ!
準備して!」
専務:
「はい!はい!はい!」
社長室を
颯爽と出ていく
その後を嬉しそうに
ひょいひょい
ついていく専務
社長はすらりと
背が高く
黒ぶちメガネ
ブランドのスーツに
黒のストッキング
そして10cmくらいの
ヒールを履いているため
陽太より背が高いように
見えた
社長室に残された
陽太とめぐみ
何か重大な事を
任されてしまったのかと
陽太の顔は
こわばる
めぐみは陽太を見つめ
「今日から
社長の娘さんの
家庭教師を
してもらいます」
「詳細と社長の自宅の
位置情報を後で送るから
仕事終わりに
お伺いするように...」
陽太:「え!?」
めぐみ:
「この事は極秘事項なので
誰にも喋っちゃダメよ!
それでは仕事に戻って...」
「はい......」と
陽太は返事をして
社長室を後にした
めぐみと陽太の間には
上司と部下という
関係性しか感じず
陽太は少しうつむいたまま
仕事へと戻った