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心の表裏
【片思い 恋愛小説】

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心の表裏-1

僕は今高二で17歳。バスケ部に入っていて運動神経はあるほうだ。顔は…友人はカッコィィなんて茶化してくるが実際はモテた記憶がない。性格が悪いのかと思えばこれまた茶化してるのかィィヤツと言われる。事実友達は多い方だし、相談も持ちかけられる。たぶん、僕に彼女というものがいないのはコレが原因なのだと思う。相談のだいたいは女子からで、裏ではやさしくしてればいつかは…なんて考えてると大体相談者は成功する。まぁ、腹黒い恋のキューピット?的なトコだろうか。
僕にも現在好きな娘はいる。高一のときクラスで一緒だった娘だ。かわぃぃしまわりからの評判もィィし文句のつけようはない。しかし告白する気にはならない。小学校の頃から、好きな人ができて告白すると「ごめん、ィィ友達としか…また相談に乗ってね」と必ず言われた。表の僕は「ぁぁ、俺で良ければいつでもィィよ」と返す。こんなことを繰り返し、中三の頃ようやく彼女ができた。しかし付き合ってみるとちょっとやさしくされないでいるだけで傷ついた。多少なら軽く返して終わりにしていたが、それが積み重なっていくうちに耐えられなくなり、二ヵ月で恋は終わった。こんな経験から、僕には恋愛に運や力がないのだと決め自分から告白はしないと決めた。
今相談者もいる。今は別に好きではないが、ちょっと前恋愛感情をもちそうになった。今彼氏がいてうまくいかないだのどうだの言われる。そこをうまく立てて頑張れと応援し、うまく保たせる。もうなれたことだ。そして毎回言われる。「ありがと。言ってよかった」表の僕は「別にィィよ。俺の言葉なんか軽く流しとけ」と表は気にしてないように返す。裏ではどこかで早く別れて俺になびかないかな…なんて考える自分がどこかにいる。そんな自分を見かけたとき、苦しくなる。だから、今好きな娘のこともあきらめようとする。僕に恋愛はできない。しかし裏の自分は「恋愛はできない男がひょんなことからドラマチックな女性が現れ、恋愛というものを思い出しながらドラマチックに恋愛をする」という恋愛を捨てきれない自分がいる。そのことに自分が気付くとホントに自分がバカらしくなって苦しくなる。
ある日その好きな娘から相談を受けた。いつもどおり表の自分で受け答えて、頑張れと応援する。裏では失敗して傷ついたとこに俺がフォローに入り俺になびかないかな、とか考えてしまっている。たぶん、本音は裏の自分なのだろう。また苦しくなる。表もかなり苦しいが頑張れと応援を続ける。そしてその娘は相談のおかげもあってか成功する。もう表とか裏とか関係なくすごい悲しみと苦しみがあふれる。

「ありがとう。本当にありがとう。相談したのがキミでよかった」

不意に言われる。すると今まで何回も言われた言葉だけど新鮮に、なにか光るものがあった。「俺のチカラじゃないよ。おまえが頑張ったんだ」いつものように返すが今回は何かが違った。表と裏、両方から出た言葉だった。なんか知らないけど、そんな気がした。すごくうれしかった。そして今まで自分がしてきたことを振り返っても、今までの「ありがとう」が全部輝いて聞こえてきた。みんなうれしそうな笑顔していた。それをみて僕もうれしくなった。僕の言葉で救われたと言ってくれる人がいる。恋愛よりも、すばらしく純粋で綺麗なものを見つけた。
いつか僕にも好き合う、信頼し合う女性が現れるかもしれない。しかし、それまでは人を応援するという、表裏無く純粋で綺麗なものを持ち続けようと思う。ずっと、ずっと…


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