和室-1
山奥の旅館の一室。
畳の上に仰向けに転がっているのは、手拭いで目元を覆われた、裸の女。
自らの手で踵を持ち、手首と足首が離れないように麻縄で縛られているせいで、股間が開きっぱなしになっている。そのうえ、膝裏に通した縄を首に掛けられ、左右の膝が限界まで上がるように調整されていて、これはつまり、自らの下半身を、尊厳なく首から提げさせられているような様相で、もはや人というよりも、射精用の肉壺だ。
口には手拭いが噛まされ、むうむうと、呻き声が断続的に聞こえる。
「またオモチャにしたのか。悪い番頭だ」
男が言う。
「いやぁ、こいつがあまりにも寂しそうだったからさ。一人で傷心旅行だってよ。可哀想だろ?」
はぁ……。心にも無いことを。
「俺には到底真似できねぇな。才能ってやつか、女ったらしの。で、幾らだっけ?」
「三千でいいよ」
「……はぁ。この女も、そんな安値で自分のマンコが売られてるとは思わねえだろうなぁ」
「お、もっと出せるのか?」
「無理無理。今月ヤバいんだって」
「だと思った。良心的だよなぁ、俺。前戯まで済ませてやってさ。しかも、お前がぐだぐだ煩いから、一番風呂ならぬ一番穴だ。有難く頂戴しろよ」
「……。じゃ、まぁ、早速」
買った男が女に近付く。
仰向けに、恥じらいようもなく開かれている股には、黒く無機質な本物のオモチャが刺突し、ヴー、ヴー、と、微弱な振動を続けている。
「……うっ……むぅ……」
女の口から、艶を含む声が漏れた。
毎度毎度、会ったばかりの見知らぬ女にここまで身を開かせるとは、閉口してしまう。
「この女、こういう趣味があったのか?」
番頭に聞く。
「いいや、俺がやりたいって言っただけ。まぁ、俺にならされても良いって思ったんじゃないか?」
はぁ、この自信だ。
レディの身だしなみなどと宣って、ご丁寧に履いていたパンツをオモチャの上から被せているから、歪に広がって千切れそうになっている。
股間から生えた無機質な円柱が、パンツ越しに蠢く様は割とグロテスクだ。
偶に悦い振動があるのか、左足首がカクッ、カクッと機械的に揺れている。
まぁつまり、奴にとって女は文字通りのオモチャなのだ。
――――さて。
女の横にしゃがみ込み、耳元で声を掛ける。
「おーい、今から犯しますよー」
「…………んっ…………ぶ…………ふぅ…………」
変わらず振動に身を委ねる女。
「馬鹿、耳栓外れるぞ。さっさと挿れろ。後も支えてんだ」
「へいへい」
立ち上がり、カチャカチャとベルトを緩め、ファスナーを下ろしてジーンズとパンツを太腿まで下げる。
股の正面に座り、千切れそうな薄桃色のパンツに手を掛け、尻からずらそうとすると、
「うー、うー」
と女の口から零れた。
嫌がっているというよりは、早く、という雰囲気だ。これも毎度の話。騙されているとも知らずに、幸せそうなことだ。
上気して、汗ばむ尻に食い込んだパンツのゴムをするすると動かす。腿の途中で横いっぱいに広がり、紐状になった「身だしなみ」の下を見ると、栓がされているにも関わらず、かなり漏水していた。
濡れたオモチャの端を掴んで、躊躇なくずるずると引っ張る。グチグチという音と同時に、
「んうぅー!」
と鳴く女。
このまま抜き差しして遊んでもいいのだが、番頭が許さないだろう。
ヴィーン、ヴィーンとうねるオモチャの電源を切り、床に置く。
むんとした体液の臭いに包まれる部屋。
一気に興奮が高まり、女の横に手を置いて覆い被さる。強直したモノの先で割れ目を探り当てると、直ぐさまズブズブと奥まで挿し込んでやった。