新しい提案-3
何か今までとは全く違う価値観が聞けるのではないか、
そう期待していた悠一が大きなため息をついたところで、
5人は交代でシャワーを浴びることにした。
「いい?バスルームでは、絶対に何もしないこと。
汗を流すだけ。ああ、ザーメンもね。
必ず単独で入ること。あ、ただし、オナニーなんかしちゃだめよ。」
「その後は、ビールで乾杯して、食事をして。
その後は、明日の朝までやりまくるぞ。」
「童心に帰って、じゃなかった。青春よ、もう一度、ね。」
「いや、性春よ、何度でも、だ。」
5人の食欲は旺盛だった。
5人とも、まさに肉食系の男女だった。
ほとんど話もせず、食事の後には翌朝まで続くだろう狂乱の時間。
それを持ちこたえるだけの体力と精力を補給するために、
誰もが精のつきそうな食べ物をあさるようにして口に運んだ。
食後の飲み物(もちろん精力剤)を飲みながら、千遥が芽衣に問いかけた。
「次の時のことなんだけど。メンバー、増やせそう?」
「メンバ〜?」
「そう。新しいメンバー。」
「新しい?え?それって……。」
芽衣は動きを止め、千遥の顔をじっと見た。
「うん。いるでしょ?二人。」
「恵介、と、美沙希、のこと?」
「ええ。その二人。
それができたら、本当の意味で家族ぐるみのお付き合いができるじゃない?」
芽衣は手にしたグラスを一度テーブルに置くと、雅樹の方を見ながら答えた。
「う〜ん。でも、うちはまだ、親子の間も済んでいないし。
お兄ちゃんと妹の関係も、まだギクシャクしてて……。」
「でも、二人とも、それぞれは経験あるんでしょ?」
「それはね。でも、兄妹同士っていうのも、なかなか難しいみたい。」
「どっちかが嫌ってる?」
「ううん。二人とも、仲は良いし、今でもお風呂には一緒に入ってるし。」
「え〜?だったら、もう済んでるんじゃないの?」
「ううん。肝心なところがまだなのよ。」
「肝心なところ?」
「そう。セックスだけがまだなの。」
「セックスだけが、って、じゃあ、他は済んでるってこと?」
「ええ。お互いに愛撫し合ったり舐め合ったり。
よく同じベッドで二人で寝ているし。
の、あ、妹の方ね、美沙希はお兄ちゃんにフェラチオするのが大好きだし、
恵介も、それはとても楽しみにしているみたいだし。」
「じゃあ、兄妹でするのは十分になれているっていうことね?」
「ええ。妹の方、美沙希はもうずっと小さい頃から、
最初はお兄ちゃんと、って決めてたみたいなのよね。」
「だったら何も問題はないじゃない。それなのにセックスはまだ、なの?
もしかして、お兄ちゃんがほかの女子と体験しちゃったから、
妹の方がすねちゃったとか?」
「お兄ちゃんが体験したころ、妹はまだ小学生よ。
さすがにすねちゃうってことはなかったわ。」
「じゃあ、お兄ちゃんがセックスに慣れたころに、
自分もお兄ちゃんで、って思ってたわけね。
「ええ。そうなんだけど、いざっていう時に、いろいろとあってね。
だから当然、親子もまだなの。」
芽衣は兄妹の間にある、複雑な感情のもつれを思い出しながらため息をついた。
「だから親子もまだ?ねえ、メイちゃん。何の順序に拘ってるの?
そんなのに順番なんかないでしょ?」
千遥はまるで教師が生徒をしかりつけるように、強い口調で言った。
「えっ?」
「そうでしょ?その、妹さん。美沙希ちゃん、だっけ?
美沙希ちゃんとお兄ちゃんがしてないと、親子ができないの?
メイちゃんと恵介君、とか、雅樹と美沙希ちゃんとかは、出来ないわけ?」
「え?だって、いきなりそんなこと……。」
「ちょっと待ってよ。いきなりも何もないでしょ?
兄妹して、一緒に寝たり、お風呂に入ったり、
お互いに舐め合ったりとかしてるってことは、
親も子も、そういうことを理解しているし、認め合っている家族なんでしょ?」
「え?ええ。二人とも、なんでも相談してくれるわ。セックスのことももちろん。」
「それだけオープンなのに、どうしてそこの順序を持ち出すわけ?」
「え?だって、子どもたちがまだなのに、いきなり親と、なんて。」
「あ〜。もう!ねえ、メイちゃん。雅樹と美沙希ちゃんがするのは、ダメなわけ?」
「ダメ?ううん。そんなことないわ。
わたしだって、そうなって欲しいって思ってるし。
雅樹だってそのつもりだと思う。いずれは、ね。」
「ねえ、ちょっと、友和、あなた、どう思う?
ねえ、雅樹。あなたたちの家族、おかしいんじゃない?」
「おかしい?どこが?」
「ねえ、だって、兄妹仲良くって、互いに愛撫しあう仲なんでしょ?」
「ああ、その話か。まあ、世間的にはずいぶんまずいんだろうけどな。」
「世間の話はどうでもいいの。あなたの家庭の話よ。」
「千遥。少し落ち着けよ。何を雅樹に絡んでるんだ。」
「友和。あなたはどう思うのよ。
兄妹仲良くお風呂にも入り、フェラやクンニまで許し合って、楽しんでるのに、
セックスはまだしていない、ですって。
そんな兄妹って、信じられる?
それだけじゃないわ。
その二人がまだだからって、父娘も、母息子も、してないっていうのよ。
順序がどうこうってこだわって。」
「なんだ、雅樹。お前んとこも、結構やるじゃないか。」
「まあな。そう言われるとちょっと照れるかな。」
「照れてる場合じゃないでしょ?
兄妹同士がセックスするのが先で、親子でするのはその後、って、おかしくない?
そんなものに順番とかあると思う?」