Farewel l-19
────ピチョン・・・・・
────ゴシ、ゴシ、ゴシ・・・・
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
浴場備え付けの椅子に腰を下ろし背中を曝す教授と、
彼の背後で両膝をつき手にしたタオルで背中から順に彼の肉体を擦り始めるセリス。
2人は言葉を交わすことなく、辺りには静寂が漂う中、
岩から水が滴り落ちる音と身体を擦る音だけが響いていた。
そんな沈黙を破ったのは教授の方だった。
「・・・・それにしても」
「え・・・・?」
「貴女も不思議な女性ですね・・・・」
「・・・・そうでしょうか?」
「まだ会って間もない男のいる場所へ
、こうして身一つで来るのだから・・・・ましてや、貴女は一国の王妃でもある・・・・・」
顔を合わせることなく肩越しに言葉を紡ぐ教授に対し、
セリスも手の動きを止めない。
――――――――ゴシ、ゴシ、ゴシ・・・・
「私の不注意で昔のことを思い出させてしまったのですから・・・王妃らしくないかもしれませんが、これくらいは当然です。
寧ろ王妃ではなく、1人の女としての謝罪の形として・・・・・」
「・・・・・・・・」
――――――ザバァァァ・・・・・・