美香さま-2
「だらしのない躾のなっていない犬と同じね」
「こんなに涎を垂らしてぇ・・・」
美香は、犬塚の足元の床にポタポタと垂れた汁を観て言った。
「そこの雑巾で床を拭いておきな良いよッ」
脱ぎ捨てられた、パンツを指先して、それで掃除しろと命令したのだ。
「掃除が終わったら出かけるわよ」
美香は、そう言うと立ち上がり教室を出て行こうとした。
犬塚は、困り果てパンツを握って、その場でフリーズしていた。
「あらぁ?何い?どうしたの?」
美香は、立ちすくむ犬塚を観ながら、微笑みながら聞いた。
「本当にまこちゃんは、全部、私の指示がないとダメなのね」
「甘えん坊なのだから・・」
満足そうな顔で、雑巾を机の中にしまったら、そのままスボンを履けと指示した。
犬塚は慌てて、握っていたパンツを机の中に入れると、
制服のスボンを履いてベルトを締めた。
美香は、「早く就いてきなさいよぅ」と言いながら、ドアを開けて廊下を歩きだした。
犬塚が、少し距離を置いて、ストーカーのようについてくるのが判る。
手招きをしながら、早く来るように促す美香
「犬の散歩に必要なのと同じように、まこちゃんにも首輪は必要ね」
犬塚は慌てて、美香に近寄るが、
スボンの前のテントが、大きく膨らみを増したのが、誰の目にも判るほどだった。
階段を上り、3階の西館へ向かっている様だった、
放課後の西館は、静かで部活の生徒も少なく一番奥は大きな図書室があるだけだ。
「ココは、学校の中でも端だから、この時間は生徒も少ないよのねぇ」
「あるのは、図書館ぐらいだから・・」
美香は、教室の時よりも声の音量を下げて、説明するように話しながら歩いた。
やはり・・・
図書館の教室のドアの前で止まると美香は言った。
「まこちゃんは、全部言わないと、ダメな子だから入る前に注意事項」
「中では、大きな声で話したりしたらダメよ」
「それから、貴重な資料や大切な本が沢山あるから、汚さない様にね」
「判ったわね?」
小学校の先生が生徒に説明するように美香は、優しく静かな声で言った。
犬塚は、この何とも言えない雰囲気に、これから先の世界を期待し緊張した。