キミハ、ココマデ-5
さらに、日が過ぎて。
SNSにまた何枚かの写真が上げられた。
「お、おい……」
志保とマイケルの距離は、一気に縮まっていた。
それどころか、肩に手を置いてみたりふざけてハグをしてみたりと、直接身体が触れ合っている場面もちらほら散見された。
「これは、ちょっと……」
浩矢はパソコンのモニターを凝視しながら考え込んだ。
元々志保には自分に対して強引に出てくる相手を突っぱね切れないところがある。
普段はしっかりしていて頭の回転も早いのだが、たまに押しに弱いというか、流されやすい性格が顔をのぞかせるのだ。
正直に言えば、浩矢が志保と付き合えたのもその気性に助けられた面が大きい。
バイト先での事件にせよ、その後の告白にせよ、志保が相手に押されることなくはっきりと自分の気持ちを言えるタイプなら、結果はだいぶ違っていたはずだ。
「……」
傍にいる時はそれも魅力と思えたが、いざこうして遠距離恋愛中の彼氏という立場になってみると、志保の性格は恐ろしく巨大な不安要素となって浩矢に襲いかかってきた。
「い、いや、でも」
ことさら明るい調子で、浩矢が口を開いた。
「マイケルとはもうすっかりお友達だよー」
心のよりどころは、志保が付けてくれたこのコメント。
「まあ、向こうはスキンシップが凄いっていうしな。志保自身もはっきり『お友達』と言っているわけだし、無理に連絡するのも焦ってるようで何だし……」
見えない何かにすがるように、浩矢は自身の「大丈夫」を懸命に補強していった。
最愛の彼女を疑うわけにはいかない。
そんなこと、あってはならない。
俺が信じなくて一体誰が志保を信じる。
「こういうことをちゃんと受け入れてやるのも男の度量! うん、そうだ。そうだよな」
わざとはっきり大きな声で宣言すると、浩矢は勢いよくアプリを閉じ、すぐさまパソコンの電源を切った。