気づきの夜-3
私は田畑を抱きしめた。
「…亜紀さん?」
「私と似てるなんて嘘じゃない。私よりずっと辛い思いしてるよ」
「…そんな事無いよ」
「そんな事ある」
「…俺の事なのに、何で泣いてるの?」
私から溢れる涙。
胸が痛くて、苦しい。
「誰だって失恋したら辛いさ。どっちが辛いとか無いよ」
涙を拭いながら、田畑は私に優しい視線を向ける。
「亜紀さんは優しいね。俺の為に泣いてくれる」
「…っ…ごめんっ…辛いのは私じゃないのに…」
「…ありがとう」
そう言って、田畑は私を抱きしめて頭を撫でた。
「これ、初めて人に話したんだ。
最初で最後。
…亜紀さんに話せて良かった」
田畑はしばし無言で私を抱きしめ続ける。
この人の支えになれないかな。
田畑の腕の中で、ふと思う。
私を勇気づけてくれたこの人の痛みが少しでも癒えるように。
少しずつでも思い出にできるように。
誰でもない、この私ができないかな。
「…亜紀さん、今日この後一緒にいてくれる?」
見上げると、切ないような、寂しそうな揺れてる瞳。
私も田畑を見つめ返す。
「…もちろん。朝までいるよ」
田畑の部屋。
玄関の扉を閉めると田畑が唇を求めてくる。
「…んっっ…中…入ろっ…」
何とか言葉を出すけど、すぐに唇を塞がれ、腕を掴まれる。
「んんっ…」
唇を吸い上げ、歯列をなぞられ、舌が入り込む。
いつもと違うキス。
私も何も考えられなくなり、ただなすがまま、田畑を受け入れる。
ふっと、唇が離れる。
「田畑…?どうしたの?」
「…ごめん。止めよう」
そう言って、田畑が顔を背ける。
「姉ちゃんに会って、混乱してるみたいだ。
感情のコントロールが効かなくなってる。
こんな状態じゃ亜紀さん抱けないよ」
絞り出す声。
背けた顔に両手を添えて、私の方を向かせる。
「いいよ、好きにして。田畑の感情受け止めたい」
「亜紀さん…」
「今日は田畑と一緒にいるんでしょ?
どういう事になってもいいと思って返事したんだよ。だから大丈夫」
そう言って、田畑にキスをする。
「ただし、ベッドでね?」
「…はい。ごめんなさい」
二人で顔を見合わせ笑う。
「…んっ…はぁっ…」
田畑の唇と舌が首筋と耳をなぞる。
別の生き物のように粘着質な感触にゾクゾクする。
「んっ…気持ちいぃ…」
そのまま田畑の手が私の服に入り込み、胸に手を伸ばす。
肌の感触を楽しむかのように揉むと、既に固くなっている中心を指で軽く弾く。
「んんっ…!」
「…もう固くなってる。気持ちいいの?」
「…うん、きもちいぃ…」
くにくにと指で刺激を加えながら、田畑がまた深いキスをする。
「はぁっ…けい…すけぇ…」
自分でも分かるくらい、甘い声音で名前を呼ぶ。
「…亜紀…」
田畑の声も熱を帯びてる。
そのまま下着ごと服を剥ぎ取られ、田畑の唇が私の乳首を食む。
「んんんっっ…!!はぁっ…あぁっ!!」
舌で転がしながら吸い上げ、ちゅっちゅっと音を立てる。
「…やんっ!けいすけっ…そんなにしないでっ…」
「…だから言ったでしょ。コントロール効かないって」
私の静止の声に答えると、慶介は再び唇を胸に這わせる。
ちゅううっ…ちゅっ…
「はぁんっ…あっ…あぁっ…!!」
胸の先がジンジンと痺れるような感覚。
そのまま慶介の唇が下に降りてくる。
腰や内腿にキスを降らす。
「んっ…!!ああっ…!!」
指が私の中に入ってくる。
もうそこは自分でわかるほどに潤っている。
「すっごい濡れてる。けどキツイね。感じてるからかな?」
くちゅくちゅと音を立てて内壁を刺激しながら、慶介が私に声をかけてくる。
「…んっ…わかんな…よっ…」
「そうだね。もっと気持ち良くしたらほぐれるかな?」
指を動かしながら、慶介が私の脚の間に顔を近づける。
舌を伸ばして、優しく、段々と強く。
ぷっくりと充血したそこを舐められる。
ちゅうっ…
「ああんっっ!!…きもちいっ!!」
指と舌が不規則に動く。
段々と激しく、強くなる刺激に、体の中が痺れる。
「んんっ…やっ…!!イッ…ちゃううぅっっ!!」
頭が真っ白になり、登りつめる。
「気持ち良かった?」
慶介が優しい目で私を見つめている。
「うん…」
「…じゃあ、もういい?挿れるよ」
頷く私に慶介が覆いかぶさる。
ゆっくりと中に侵入してくる感覚。
「はああっ…!!ああっっ…!!」
イッたばかりの私にはその感覚が強すぎて思わず慶介の首に回した手に力がこもる。
奥まで入れると、慶介は子宮口に押し当てながらまたキスをする。
「んっっ!!あっ…んんっっ!!」
唇を塞がれながら、動かされるとまた奥が痺れてくる。
「んむっ…!!んっ!!んんんっっつ…!!」
奥がぎゅうっと締まる感覚。
「んっ…はぁっ…。亜紀、またイッた?
今日は何かすごいね」
髪を撫でながら、慶介がおでこにキスをする。
「かわいい。亜紀、今度は上になって?」
そう言うと体勢を入れ替える。