出会い-6
『じゃあ。また明日ね。』
そういうあたしに、少し真剣みを帯びた顔で千鶴が言う。
『そうそう。今日珍しいことしたからって明日から遅刻連発にならないように気をつけてよ』
痛いところをつかれ、たじろぐあたし。
やはり最後は厳しくけれど、暖かい視線で千鶴が諭してくれた。
『もう。絶対だよ。あたし来年は彩夏と違う学年なんて嫌だからね。』
『いっ。いや。いくらなんでもあたしはそこまでは休まないって』
あたしの甘い考えに千鶴の鋭い活が飛ぶ。
『甘い。甘い。そういっていくうちに人間堕落していくんだから。今日、涼子ちゃんと登校していたんでしょ?何なら毎日そうすれば?彼女いつもあの時間帯にいるし。』
千鶴の意外な提案にあたしも同意した。
『うん。そうしてみようかな。せっかく涼子ちゃんとも仲良くなれてきたんだし』
『はい、決定。三日坊主になるなよ。彩夏』
『はあい。じゃ。あたしバス来たから。ばいばい』
あたしは自転車通学の彼女に手を振り自宅に帰る。
『涼子ちゃん・・・か』
あたしは、お風呂から上がった後、ベッドに横になりながら今日のことを振り返る。
今日はあたしが時計の時間を間違えるという恥ずかしいことしちゃったけれど、そのおかげで彼女に会うことができた。
とは言え、今まで彼女のような人間との付き合いがなかったのでとても興味がわいた。
『ていうか、お似合いだし。』
そう言う、千鶴が思い出される。
お似合いってどういうことよ、まさかまた変なこと考えているんじゃないよね。
あたしは、一日の疲れから堕ちるように眠りについた。
今日の新たな出会いを思いながら。